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(19) 93/05/22 04:15
オランダ通信45 自転車事情
CONTIさんが自転車のことを書いていたので、ちょっと紹介しますか。中国などと違って、自動車が完全に普及した社会での、自転車の普及率が、オランダが断然高いことは、まず間違いありません。「優等生」という言葉が、こういう場合でも使用できるとすれば、オランダは間違いなく「優等生」でしょう。
とにかく自転車に対する配慮は、実に行き届いています。
道路には、ほとんどの場合「自転車専用道路」があります。つまり、道路は車用、自転車用、歩道と3つの種類に別れていて、混ざることはあまりありません。したがって、自転車に乗るときに、車を気にしながら、ということは、ほとんどないのです。その代わり、車に乗っていると、右折の時には(日本でいう左折と同じ現象)自転車を注意しなければなりません。子どもの飛び出しという危険は、オランダでは全く感じませんが、自転車への注意は、車ではとても大変です。自転車がのさばっているわけなのです。
オランダに来てびっくりしたことに、自転車で列車に乗れるということでした。オランダの国鉄(オランダには私鉄の鉄道はないようです)の車両には、自転車用車両がちゃんとあるのです。自転車のままホ−ムに入ってきて、自転車用車両に乗り、目的地でおりてまた自転車で、という自転車旅行が可能なのです。自転車で楽に全国旅行ができるのは、オランダくらいではないでしょうか。
駐輪のための施設が、町にはたくさんあります。
まあ、とにかくオランダが自転車王国になったのは、なんと言っても坂がないことです。東京には空がない、ということに比べれば、オランダには山がない、ということになります。ドイツとの国境の南部にほんの少し山らしきものがありますが、最高の標高が200メ−トルというのですから、笑ってしまいます。でも、坂がないと、生活上は本当にいいですね。楽ですから。
郵便配達の人も新聞配達の人も、バイクというのは皆無で、全部自転車です。バイクはこちらではとても少数です。
当然の結果として、オランダ人はとても自転車が上手です。片手運転というのは、まったく初歩的なテクニックで、上手な人は、食べながら乗ったり、凄いのは、読書しながら運転するそうです。学校でもきちんと警察の人がやってきて、指導をします。
多分自転車に乗れない人というのは、皆無でしょう。
では自転車万々歳かというと、前にも書いたように、自転車泥棒のすさまじさは、例えようがない位です。夜鍵をかけずに放置したら、まず絶対に翌日はないと考えられています。
ライデン大学の学生が話してくれましたが、あるとき、外で飲んでいたとき、(外というのは、店だけど、店内ではなく、店外にテ−ブルと椅子を出して、そこで飲む)そばに止めてあった自分の自転車を、変な目つきで、あきらかに盗もうとしていた男がいたのだそうです。「おいそれは俺のだぞ」というと、まったく悪びれる風もみせず、「ああそうか、悪かった、じゃとなりのこれにしよう」と言って、となりのを盗んでいったそうです。日本人のある留学生は、1月の内に、2台むすまれました。その時私もいたので、臨場感がありました。もっとも、彼のはだれかが、盗んだものではないか、とも思われものです。というのは、自転車を盗むと、ブラックマ−ケットに流れるのだそうで、それはとても安くなります。そういうのを、平気で買うわけです。そして、お互いに売り買いします。
自転車泥棒が、ドラッグの代金を稼ぐためにする、というのは、前に書いたと思います。
こうですから、盗まれないようにするための工夫もまた、涙ぐましいものがあります。日本のような鍵は鍵の範疇にはいりません。簡単に壊れてしまいますから。目の前で盗むのですから、人前で鍵を壊すなどということは、平気です。頑丈な鍵ですから、それを壊す道具も売っているのです。自分の鍵を無くす人もいますから。だから、道で鍵を壊していても、誰も鍵を無くした自分の自転車を扱っているのか、盗もうとしているのか、という区別は尽きませんから、誰も怪しまないわけです。
一度大学構内で、まず自分の自転車だと思いますが、ガスバ−ナ−で鍵を焼いていたのを見たことがあります。
それで、頑丈な鍵を3つくらいつけ、そして、柱に鎖でくくりつけます。夜はそうしないと、安心できないわけで、先の留学生も、鍵を忘れたのではなく、柱にくくりつけるのを忘れたのです。それで、2時間いなかった間に、もうなかったわけです。
日本では、盗まれても出てくる、という話をすると、大人たちは、オランダも20年前まではそうだった、と言います。だから、日本もやがて決して出てこない社会になるのだろうか、あるいは、違う社会だから、(日本特殊論)大丈夫なのか。何故、変わったのか、まだ私にはよくわかりませんが、オランダ社会に限らず、ヨ−ロッパは20年の間に、全くと言っていいほど、違う社会に変化したように思われます。いろいろな場面で、そういう話に遭遇します。
それはまたいずれ。