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(19) 93/05/03 04:56

オランダ通信40 教員採用
 教師の教育や採用がどのようになっているのかは、中々分からなかったのですが、最近ようやく輪郭が掴めてきました。随分遅い理解ですが、現在のオランダでの滞在事情で、中々分かりにくいのですね。

 教師になるには、3種類の教師があります。
 小学校の教師になるためには、教員養成学校(PABO)に4年間通う。これは大学ではないけれども、一応高等教育になっています。高等専門学校というような位置付けでしょう。中学校の教師になるには、これはいろいろな場面があって、特に一定に免許はないようですが、(というのは中学校というのが、非常にたくさんの種類に分かれていて、学問的な中学校から単純な職業教育をするものまで、多様なのです。)基本的には高等教育を受けていることが求められるようです。VWOの教師たちは、大抵はDRSです。このDRSというのは、こちらの大学を論文を書いて正式に卒業した人の称号で、世界的にはマスタ−の称号に相当します。
 大学に教師になるためには、DRSは最低不可欠で、運がよければ、それで大学教師になることができるようですが、基本的には更に4年程度勉強して、ドクタ−の学位をとることが求められます。

 それで、こうしたいく種類もの教師がありますが、しかし、採用方法は基本的には同じであるように思われます。つまり、個別的な採用なのです。

 4月の新聞には、毎日たくさんの教師の募集広告が載っていました。ありとあらゆる学校形態の教師の募集です。
 ということは、たとえば小学校でも、個別の学校が、募集するのです。採用されれば、その学校の教師なのであって、移動は基本的にありません。嫌になったら、別の学校に応募して、また採用される必要があります。ですから、極端にいえば、教師暦をすべて一つの学校で終える、という形態は、珍しくないと思われます。勿論事情があって変わることも、あります。

 個別の学校が、どのような教師が欲しいか、どういう仕事をするか、条件はどうか、というようなことを書いた募集を、新聞に載せて、公募します。
 その条件は、学校によって、同じではありません。たとえば、こちらで盛んな「イエナプラン学校」などは、イエナプラン学校の教師の免許をもっていることを、条件にしていました。シュタイナ−学校なら、当然シュタイナ−学校の免許を要請するでしょう。ですから、単にPABOを出たから、ということで、資格を満たすということではなく、それにいろいろな要件を付加して募集するようです。だから、経験何年というような条件の募集もありました。

 さて、応募があると、当然試験がありますが、それは、日本のような筆記試験はまずないと思われます。とにかく千差万別なので、いちがいには言えませんが。
 基本はまず、面接です。面接には、その学校の教師、校長、公立学校の場合は、市の教育担当者、そして、父母代表です。ここでは、かなり突っ込んで論議が行われるそうです。なにしろ、父母から見れば、自分の子どもを託す教師なのだから、真剣にならざるをえないし、また教師や校長にしても、同僚を選ぶわけですから。普段から率直に論議する風土がありますから、そうした論議でかなりのことが分かると思います。日本での面接とは相当違うと思います。
 日本の面接では、同僚を選ぶわけではないですから。

 そして、絞られてから、実際に子どもの授業をするそうです。私の長女の担任、つまり、ペッピングは赴任2年目という若い教師なので、よく覚えていて、彼に聞いたのですが、ペッピングのときは、3日くらい授業をしたそうです。
 その授業を、先の担当者たちが見るわけです。子どもの意見を聞くということは、ないと言ったと思いますが、学校によっては、聞くかも知れません。子どもは実に教師の「教師的資質」を鋭く見抜きますから。

そうして1人の教師を選抜するわけです。
 ですから、日本のように、県で大量に採用し、学校を7年くらいで変わっていくというのではなく、その学校に就職するという形態です。

 どちらがいいかは、いろいろあるでしょうが、少なくとも、教師として相応しくない人が、学校の教師になる確率は、日本の方が高いのではないでしょうか。

 教師になるのは、こういう事情ですから、非常に難しいそうで、これは、日本にいるときに、オランダの小学校の校長だったという人と話す機会があったのですが、難しいのだ、と言ってました。

 ペッピングはPABOを卒業したあと、教育学の知識が足りないと思ったので、大学の教育学部に入ったそうです。ただ、小学校の教師になるつもりだったので、1年でやめ、(大学の1年目の最後に、試験があり、その試験に通過しないと、専門学部に残れないのですが、それに合格していると、いつでも復帰することができます。彼は、その試験に合格して、小学校の現在の学校に応募したわけです。)
 PABOの時、一緒に学んだ学生は、20人だったそうですが、正規の教師(フルタイム)になれたのは、2人だけで、パ−トタイムの教師が15人で、あとは全くなっていないということでした。大学で教育学を学んだということは、その姿勢もまた知識も評価されたのだと思われます。

 さて、もうひとつ重要なことは、校長もそうやって選ぶということです。
 実は私の子どもたちの学校は、3年前くらいに校長が変わったのだそうです。前の校長が病気でなくなったので、新しい校長が必要になったそうです。つまり、校長も変わらないのです。あの学校はあの校長の学校、というのか、こちらのイメ−ジです。

 やはり新聞に広告を出し、そこに条件が様々に書かれています。そして、選ぶときも、同じようなメンバ−で選びます。しかし、通常校長が必要になる事態なので、校長は当然いません。教師、父母、市の関係者で面接をして選ぶということです。「校長」の免許はないし、校長試験なるものも存在しません。日本のあの教頭試験と校長試験が、いかに学校を歪めているかを考えると、それがないことは、とても羨ましいですね。

 そうやって選ばれるので、校長と教師の対立などは、まず極めて稀だと思います。とても友好的であるのが、普通でしょう。