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(19) 93/04/28 03:24      コメント数:1

オランダ通信38 環境教育 
 CONTIさん、今日は、返答が遅れてすみません。すぐに読んでいましたが、何しろ遠い所にいるので、(いいわけにはならないか)

 ライデン大学にいる日本人の学生に、(彼の方がオランダに長くいる)オランダというのは、地球温暖化防止に熱心に取り組んでいるのか、と聞いてみると、特にそういう感じはしないが、という返答で、それは私も同じです。
 オランダという国家が、特に環境問題に対して、熱心であるという印象は、少なくとも現在の私には、あまり感じられません。別に不熱心であるというのでもなく、ごく普通なのではないでしょうか。日本は国際的には、環境問題に対して熱心である方に属していると評価されていますから、日本と比較して、進んでいる面と、遅れている面と両方あるという感じがします。

 環境教育にいう点に関しても、特に熱心に取り組んでいるとは、あまり思えません。ライデン大学の図書館での総合目録を検索したところ、「環境」と「教育」と言う両方をタイトルにもった本が12冊あり、そのすべての「環境」は、社会環境と進学の平等問題というレベルでの「環境」でした。「環境保護教育」という意味での環境教育に関する本は、この検索でみる限り、ありませんでした。もっともライデン大学での話ですが。

 さて、繰り返しになる点もあると思いますが、環境に関して、感じた点をまとめて書いてみます。何か、もっと知りたいことがあったら、具体的に書いてください。

 まず、「環境」と言っても、オランダと日本では、まずその社会的意味が全くことなるという点に注目する必要があるでしょう。というのは、「環境」とは、日本ではまず「自然」が土台にあり、それに人為的な再編があって、「環境」を作っていると思いますが、オランダにおいては、「自然」はないわけです。オランダという国家は、誰でも知っているように、人々が作った国土なわけです。4割は埋め立て地であって、埋め立て地に多くの人々が住む都市がありますから、まず人工的な国家であると言ってさしつかえないでしょう。

 誰でもオランダに来ると、まず感じるのは、とてもゆったりとして、牛や羊がのんびりと草を食べている風景がひろがるので、とても美しいと思い、ゆとりを感じるのですが、しばらくたつと、どこでも同じなので、少なくとも鑑賞的にはつまらない土地だ、と感じるようになります。人工的に作った土地なので、どこも同じなのです。緑は非常に豊富ですが、密集した木々というのはなく、どんなに多くの木があっても、かならず数メ−トルの間隔が規則的に開いています。
 人々は、堤防を築き、埋め立て、運河を堀り、木々や草を植え、そして、家を建てて、オランダという土地を広げてきたわけです。それは現在でも続いており、オランダの比較的北の海に「大堤防」というのがあるのですが、湾になっている海に堤防をつくり、そこが既に自動車道路になっています。そして、それができると、今度は早速、中になった海を埋め立てています。オランダの埋め立て事業は、現在進行形なのです。

 そして、そうして作ったところでは、あまりに人口が密集するようなこともなく、ゆったりとした感じで土地造成が行われています。
 ついでに書いておくと、オランダの都市というのは、日本の都市とは全く異なって、完全の機能分離しています。これは確か以前にも書きました。アムステルダムは商業都市、ハ−グが政治都市、ロッテムダムは貿易都市、ユトレヒトは文化都市というような感じです。したがって、日本の大都市、東京や大阪のような都市は、存在しません。始め、こんなのが都市なのか、と思うのですが、日本の東京のすさまじさを考えれば、実に賢明な都市作りをしてきたことがわかります。

 人工的に作った国家であることは、環境に関して、当然影響をしていると思われます。環境を保全するという観点が、いろいろと感じられます。

 都市の機能分離もそうですが、運河に最もそれを感じます。オランダの運河というのは、本当に国中を網羅しており、どんなところにも、運河があります。5分あるけば、必ず運河があるのです。もちろん大中小いろいろな運河があるのですが、それらの運河は、すべて繋がっているのです。この運河が、豊かな緑を支えていることは疑いないところです。運河は運河で川ではありませんから、日本人が川に求めるようなある種のロマンチックな味わいはありません。清水とはいえないし、流れてもいません。しかし、どんなに小さな運河にも水鳥がいて、魚がいます。

そして、運河は疑似的な自然の恵みを与える存在だけではなく、運輸の要でもあります。現在でも多くの輸送を運河が担っています。輸送を運河で行うことは、多少速度が遅いけれども、環境保護的にはとてもよく、またエネルギ−効率は良いと思います。以前書いたように、高速道路を大型トラックが深夜にも走って、騒音をまき散らすなどということは、ほとんどありません。したがってオランダの高速道路は、とても静かで、近くに高速があるという感じがしないほどです。

 次に、ゴミの問題です。オランダのゴミ処理は日本より優れていると思われる点と、劣っている感じの両方があります。
 まず、ゴミの種類ですが、基本的に家庭のゴミの処理は、なまゴミとそれ以外というようになっています。
 私の住んでいた松戸市では、燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミ、粗大ゴミというように別れていました。
 だから、松戸の燃えるゴミから生ゴミを更に分けているわけです。なまゴミは基本的に肥料にするそうです。それから、木を切ったあとの枝や葉は、その場で細かく砕いて、そこに撒いてしまいます。ほこりになって散ることはないので、そのまま枯れて肥料になっていくということです。
 
 この有機ゴミをそのまま再生利用する点は、あきらかにオランダが進んでいると私は思います。もっとも専門的にもそのように判断できるのかは、よくわかりませんが。
 科学肥料はしたがって、使用量は日本よりずっと少ないと思います。

ビンなどは、ある一定のビン、(例えばビ−ル)などは、ス−パ−で有料でひきとってくれるのですが、ワインの瓶はガラス捨てのような大きな鉄製のゴミ捨てがあって、そこに捨てます。日本人はみな変だと思うのですが、そこに入れると大きな音をたてて割れてしまいます。したがって、ワインの瓶は洗って再利用するのではなく、また溶かして使うのだと思います。

 日本で非常に問題になっているペットボトルは、大体1ギルダ−(現在円高で65円)が値段に含まれていて、先のビ−ルビンと同じところへ、持っていくと返還される仕組みです。日本も絶対にこれをすべきでしょう。

 紙の再生利用はずっとオランダが遅れていると感じられます。ちり紙交換なるものは、まだ見たことがありません。もっとも、日本の新聞のように1日2回あって、厚いというのではなく、週刊誌なども日本程「発達?」していませんから、紙の使用量は少ない感じがしますが。

 さて、学校ですが、こちらの学校は、まず基本的に「掃除」をしません。わずかに、娘の場合長女のクラスで、毎日3人が担当になって、多少の掃除をします。それ以外は、自分の席は自分で綺麗にする、ということと、基本的に専門の掃除婦を頼みます。その費用は馬鹿にならない程、大きなものだと先日教師が言っていました。しかし、徹底的に異なる感じがするのは、学校が生活共同体であるという認識が、こちらではないこと、掃除は教育の一貫という意識は全くないこと、の二つです。
 したがって、日本のように「クリ−ンデ−」などという、地域のひとたちの協力で、地域を掃除するとか、生徒が地域に出ていって、地域のゴミを拾って、地域を掃除する、などということは、まずないと思います。
 その点は、多少の見解の相違があるかとも思いますが、私は日本の方が進んでいると思いますし、やっていることは、いいと思っています。

 授業で扱っている環境問題は、日本とそれほど違いがないと思うのですが、ただ、教科書をもって帰らないので、よく分からないというのが、正直なところです。今度特別に調べてみます。

 それから特筆すべきは、グリ−ンピ−スの力は結構強いようで、テレビなどにもよく出てきます。何か工場の爆発などがあると、それがオランダではなくても、直ぐに飛んでいって調べるようで、そういうニュ−スでは、グリ−ンピ−スの人が解説者として登場しますので、その権威が認められているかも知れません。今度話してみるつもりなので、結果を報告できるでしょう。

 日本への認識という点でいうと、日本=水俣病という図式が、かなりの人に持たれていて、何人かの人に水俣のことを聞かれました。