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(19) 93/04/26 06:39

オランダ通信36 イギリスのテスト事件
 オランダ通信ですが、内容はイギリスのことです。日本の新聞でも報道されていると思いますが、昨日BBCの夜のニュ−スを見ていたら、裁判が教師のテストボイコットを指示する判決をだしたということを報道していました。
 イギリスのことは、ここではあまり追いかけていないので、よく知らなかったのですが、今日早速イギリスの新聞を買い求めて、読んでみました。この記事だけでは詳細がわからないし、またちょっと誤解をしていないとも限りませんが、紹介します。

 サッチャ−政権以来、イギリスでは教育内容を個々の学校や教師に任せるのではなく、国家が基準を作成するという方向に動いてきたことは、みなさん知っていると思います。国家基準などというものは、そんなに一朝一夕でできるものではありませんから、どの程度進んでいるかは、私は知らないのですが、今回の件で、国家基準に基づく国家試験が問題になっていることが、わかりました。
ただし、その試験の性格は、まだよく分かりません。もし知っている人がいたら、説明してくれると有り難いです。
 とにかく夏に14歳を対象として、国家レベル、ということは全国レベルでのテストをするということが、決まっています。それに対して教師の団体が、労働条件を理由にボイコットをすることを宣言し、裁判にその合法性を認めるように、訴訟を起こしたらしい。その上告審(Appeal Court)の判決が出て、ボイコットが合法であるという判断を下したのです。

 教師としては、週35時間の労働を求めているのに、そのテストを実施すると、週52時間労働しなければならない、従ってそれは教師の権利を、著しく侵している、というような主張を、裁判所が認めたということのようです。

 現時点で私が判断できないことは、この14歳の全国試験が、かつての11歳プラステストのように、それで進路を振り分ける「義務的運命決定テスト」のようなものなのか、あるいは、単に教育の実情を調査するための、調査テストなのか、それが分からないので、早急に調べてみようと思います。

 私の読んだガ−ディアンという新聞は、教師の団体に対して、とても批判的なコメントを載せていました。教師はもっと妥協的になるべきだ、全国テストはどうしても必要なものなのだから、というような。

 それから、昨日のBBCのニュ−スでは、解説の後、教師の団体の代表と文部省の官僚が出てきて、それぞれの論点を主張していましたが、お互いがすさまじい速さの英語で、相手を決して認めないというような感じの話ぶりだったので、あっけにとられてしまい、十分に内容を聞き取れませんでした。
 もっとも主張そのものは、大体推測がつきますが。

 この事件で、思わずにいられないのは、1960年代前半を、言わば「血で染めた」あの「全国学力テスト」です。私も当時中学生として、あの「学力テスト」を受けたのです。もっとも、東京は比較的穏やかで、ボイコットという運動はほとんどなく、私たちも平穏?に受けたものですが、全国で、ボイコットした教師が、その後本当に苦労せざるをえなかったことを思うと、今回の判決は、如何に「風土」が異なるかを実感させます。
 「学力テスト」は端的に「踏み絵」だったと思うのですが、「踏み絵」は最も非教育的な行為だ、ということも、日本の裁判官は理解できないようで、悲しくなりますね。

 この冬の教科書訴訟の判決などと比較すると、日本の裁判制度そのものの問題を感じました。