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(19) 93/03/24 06:06

オランダ通信26 日本の大学のかなわないこと
 KONさん感想ありがとうございます。
とにかくこの会議室は、書く人がすくないので、こうして質問でもあると、とても書きがいがありますね。

 日本の場合、大学といっても、ひとつくくりできない程、いろいろな大学がありますが、オランダではまだ大学は15くらいしかありませんから、オランダの大学では、という言い方ができそうな気がします。

 日本の大学ではまずかなわないこと、それは端的に言って、国際性でしょう。
 ヨ−ロッパの大学は、中世に学生が自由にあちこち行って、好きな場所で勉学をしたわけですが、そういう勉学の遊学性は、まだ強く残っている、というよりは、ますます強くなっているかも知れません。
 昨年「エラスムス計画」というのが、ECにあって、EC統合を契機として、EC加盟国の間で、留学生を短期に交換する事業がありました。そういう人たちのためのオランダ語講座に出ていたのですが、その講座には、ドイツ人、スペイン人、スウェ−デン人、アメリカ人、ハンガリ−人、ブルガリア人がいました。
 それから私の部屋は、学生ではない外国人のための部屋なのですが、これまで、中国人、ベルギ−人、ロシア人、インド人、ドイツ人が入れ代わりたちかわりいました。
 学生も同様です。

 そして、何よりも教員が国際的であることです。
 教員を募集するときに、こちらでは全く国籍を考慮しません。そこで講義できればいいのです。講義に関しても、オランダである必要はなく、英語、ドイツ語、フランス語程度まで許容範囲のようです。問題はその学問における業績で、私の近所に住んでいる日本人は、古代ヘブライ語の教授で、これまでイスラエル、イギリス、オ−ストラリアで学んだり教授であったりしましたが、いきなりライデン大学の教授になりました。決まってから始めてオランダにやってきた程です。このポストは、ライデン大学が創立したときの、5人の教授のポストの一つだったそうで、最も伝統ある椅子なのです。しかし、オランダにいたこともない人を、業績で採用するわけです。(ちなみのその人は、全くオランダ語を勉強したことがなかったにも係わらず、採用が決まってから猛勉強して、オランダでの講義は最初からオランダ語でやったそうです。

 たびたび出てくるラトケ教授は、10カ国語以上話せる人なのですが、(講義も4つ位の言葉でできると思います)手紙や論文を書くときには、その言語のネイティブの人にチェックしてもらうそうです。ということは、そういうことが可能である程、いろいろな言語の人たちが、大学で教師をしているということです。

 日本の大学ではどうでしょうか。最近は、だんだん外国人の教師は増えていますが、ほとんどは、英語国の英語の教師なのではないでしょうか。
 語学の教師以外の専門教育の担当者として、専任の教師になっている人は、ほんとうにすくないと思います。

 学問は、新しいことを追求することですから、異質なものに触れることは、絶対に必要なことですが、世界中から学びに来たり、教えにきたりしているということは、いつでもそうした異質性をあるということです。学問研究にとっては、不可欠なことだと思うのですが、日本の大学は、その点、現在のところ、まったく遅れています。

 実は私の大学では、私のように海外で勉強することはできる制度があるのですが、外国人を呼んで、大学で勉強してもらう制度はありません。もちろん自分の費用で来る分には、拒むことはありませんが、まだそういう「惹きつける」水準まで行ってませんから、こちらで招待する以外ないのですが、そういう制度をつくることは、なかなかできません。 こういう点で、日本の大学がヨ−ロッパの大学に追いつくには、そうとうの時間がかかるでしょう。

 大学ではありませんが、全体としての知的水準の一部として、新聞を考えてみます。

 日本の新聞は、ヨ−ロッパの新聞に比較して、とてもすぐれた面もあると思います。
 しかし、個々の新聞のことではなく、日本で売られている新聞と、こちらで売られている新聞の相違を考えてみます。

 日本では外国の新聞をどれだけ売っているでしょうか。
 キヨスクで外国の新聞はありますか。オランダでは、宅配の他には、本屋とキヨスクで新聞を買います。さすがに、宅配はオランダの新聞だけだと思いますが、本屋やキヨスクでは、様々な国の新聞を売っています。前に書いたように、朝日と日経がありますが、イギリス、ドイツ、フランスはもちろん、トルコやイランなどの新聞もあります。他のヨ−ロッパの新聞は、ところによりますが、とにかく、日本のように、日本の新聞だけというところとは、全く違うのです。

 新聞自体は日本の新聞社の猛烈ぶりは、こちらの新聞はかなわないと思うのですが、様々な新聞を読めるということは、研究者にとっては、非常に大切なことだと思います。

 そうそう、日本の大学の方がまさっていることは、就職じゃないかな。
 こちらは、就職の世話なんかしないようですね。大学を出ても、中々就職できないと聞いています。もっとも、大学出たら、気に入る仕事でなければ、嫌だというような、日本人としては、ちょっと理解しがたい面もあるので、その分割り引いて考える必要はありますが、就職活動をするために、授業を欠席することに寛大で、大学全体として、就職することを援助する、というような制度は、こちらにはないようです。でも、これは、日本の方がまさっているのか?