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(19) 93/02/23 06:00

オランダ通信18 ライデン大学での講義
 前回書いたように、この間ライデン大学での講義のために、ちょっと地獄のような生活をしていました。
 私はオランダにオランダ教育について勉強しに来たのですが、いろいろの事情で、ライデン大学の日本学科にお世話になっています。そこのラトケ教授という人に(この教授のおかげでオランダに来ることができたのですが)特別講義をしてくれないか、ということで、昨年の12月に引受け、この2月と3月に行う予定で、ずっと準備をしていたのです。ところで、オランダという国は、オランダ語を使わなくても生活できる国であるだけではなく、実にオランダ語を使うことが難しい国でもあります。
 何度も書くように、ほとんどの人が英語ができるので、用事は英語ですませようという雰囲気があるわけです。
 それで、オランダ語が一向に向上しないので、オランダ語で講義することにしたのです。もっとも討論は無理なので、ラトケ教授に通訳をしてもらうということにしました。
 それではあまりに妙なことになると思うので、3、4年生のために日本語での講義も行うことにして、今回オランダ語の講義が3回分終了しました。
 ここにオランダ語をアップしても仕方ないし、また日本語でアップしても、内容自体は特に日本人にはめずらしいことでもなく、ごく単純なことなので、それもやめておきます。
 内容は1回目が、地域社会の変化の中で、教育自体が非常に困難になっている状況を、女子高校生監禁殺人事件を素材にして話しました。犯罪もそうですが、家族がそれを知らなかったとか、近所も気づかなかった、少年たちは沢山知っていたのに、誰も知らせなかった、などという地域特性が、何故生じたのか、というようなことを話しました。
 これはとても大きな印象を与えたようです。
 そして、家庭内暴力や地域的無関心という状況は、オランダでもあるそうです。
 ただ、オランダでの状況として異なるのは、少年の犯罪はほとんど新聞などの報道の対象のならないので、それほど犯罪自体が知られていないので、どのような犯罪があるかは、十分にはわからないということでした。何か事件があると、昼間のワイドショ−でしつこい位に報道される日本とは、大変違います。オランダのテレビは昼間はやっていないので、日本のような番組はありません。
 いじめもオランダであるということでした。
 2回目は選抜問題で、主に偏差値のことになりました。
 これも何度も紹介したように、オランダでは偏差値などのような選抜方式は全くありません。大体は個人の希望が尊重されるようになっていることと、復活ル−トがあるので、それほど深刻ではないようです。ただ、オランダ語の訂正をやってもらった学生は、はじめ中等学校の3番目の類型に入って、段々復活戦で大学まで行ったので、通常より3年も遅れてしまい、とても無駄をしたと怒っていたので、必ずしも皆が賛成しているのではないのです。結局偏差値というのは、どうも理解が困難なようでした。私の説明も不十分だったようですが。
 家庭全体で入試競争に取り組むような感じで、家庭の問題は生じないのか、という質問がありましたが、成績によってや、家庭の状況で異なることを説明したのですが、その中で、優秀な生徒の家庭で、特に父親が忙しいビジネスマンで普段家に居なかったりすると、母と男の子の間の、母子密着の問題が生じ、テレビでマザコンの番組が人気があると、説明したところ、マザコンはオランダでも大変多いそうです。新婚旅行先から母に相談の電話をする男がいるという話をすると、オランダでも同じだということで、思わず笑いました。しかし、原因は異なるはずですね。
 3回目は、企業内の教育の話をしました。ごく入門的な話だったのですが、彼らの興味は企業内教育よりは、むしろ解雇に関する質問ばかりのようでした。
 こちらでDAFという大きな会社が、3000人解雇するという話が現在進行中なので、特に話題になりました。

 ということで、あまり大した話ではないのですが、この間あまり書かなかった事情説明ということで、報告しました。
 外国語に関しては、会話が重視されますが、「書く」というのも、大変難しいと思いました。話すのは、間違いがあってもあまり気にせずに話していきますが、文章は、間違いに大変こだわるし、表現の適切性などを問題にするし、また会話では分からなければその場で確認できるのに対し、文章ではそういう疑問が起きないようにする必要があるということで、また違った困難さがあるのですね。
 とくに講義などというレベルでの文章になると、本当に大変な思いをしました。