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オランダ通信9
 12月のオランダでは、シンタ・ニクラスの祭りで埋めつくされている感じです。これはオランダとベルギ−の一部に独特の祭典なのだそうで、12月5日が祭りの当日なのですが、サンタ・ニクラスとツバルト・ピッツという黒人何人かが街や住宅や学校を回るのです。そして、多くの世界の国と同じクリスマスの季節がやってきて、つまりオランダで
はクリスマス的な祭典を12月に2回するのです。
 この祭典を見ていると、労働と余暇の問題を考えさせられます。
 オランダでは、シンタ・ニクラスの祭典のときには、少なくとも多少教養のある人たちは、近所で集まって詩を披露するそうです。それには、1年の主なできごとが読み込まれていて、それを楽しく可笑しくうたいあげ、重要なことはきちんと韻を踏んだ形式にまとめあげ、それを読まれた当人に捧げるということなのです。そうして家族や近所の人々と楽しくすごすわけです。
 こういう時には、ヨ−ロッパの言語は「聴覚言語」だということを、とても実感します。日本では「詩を作り、朗読して楽しむ」とうい習慣をいつの時代に捨てたのでしょうか。今でもある人達は楽しんでいるのでしょうか。
 このオランダの風習は、今でも相当広範囲に楽しまれていることは確かなようです。
 それから、シンタ・ニクラスです。
 明らかに中年の男性が、大勢シンタ・ニクラスになって子どもの学校や家庭を訪れて、子どもたちを楽しませるのです。今年は実は5日が土曜日なので、学校は休みの関係で、4日に繰り上げてシンタ・ニクラスの祭典が行われていました。とういうことは、常に平日に行われているのです。彼らは仕事を休んで参加していることは、疑いありません。大体オランダという国は、子どもの誕生日には、父親はどうどうと「子どもの誕生日」とうい理由で会社を休むのですから、シンタ・ニクラスに扮して学校まわりをするとなれば、仕事を休むことなど当然すぎることでしょう。
 
 ライデン大学に日本の大学院生がホイジンガの研究に来ています。ホイジンガが「遊び」を中心とした概念を提起したのは、ナチとの関係が問題になってきた時代なのだそうで、実はそこらをよく知らなかったのですが、彼によると、ホイジンガはナチへの対抗理論として、遊びを考えた、という解釈をしたいようです。
 
 私の知る限りでは、労働者が「余暇」を楽しむことを権利として認めさせ、実際に仕事から解放されて、余暇を楽しむ体制を認めさせたのは、フランスの人民戦線内閣のときが最初だったと思われます。(違っていたら、知っている人教えてください)
 それが1936年からの数年間、ホイジンガが「ホモル−ベンス」を発表したのが、1938年だそうで、いうまでもなくミュンヘン会議の年であり、翌年には第2次世界大戦が始まります。
 
 こう考えると、遊びはファシズムとの関連で考えざるをえない面が、相当あるのだという感じで、ネオナチの台頭を念頭におくと、オランダ人の遊び心も、とても興味深いものがあります。
 ドイツの事情をよく知っている人、ドイツ人はあまり遊ばないのでしょうか。