結論的にいって、1918年教育法の52条においては、第一次世界大戦を通じて増大した社会的・教育的な、ますます増加してくる要請に、注意が払われている。20世紀初めの大きな発展 ── 流動的な社会的要因や、誕生から青年まで子供の生活に及ぼす型が変わりつつあるように ── は、フィッシャー法の改革に連結するものであった。結果は第一次大戦の前には明らかであった教育制度上の多くの欠陥が除かれた。そして、未来の改革者が依拠することのできる強固な骨格が準備された。このことの故に1918年教育法は、1870年、1902年、1944隼教育法と同じように第一級の重要性をもつ法的基準としての位置に置くことができる。(14)成田克矢もフィッシャー法に高い評価を与えながら、しかし少し異なった評価を与えている。
フィッシャー教育法はこの節で検討したところから大戦を闘いぬいた国民大衆への、戦後復興ないしは改造要求にたいする国家の譲歩の一環であったということができる。したがってそれは国家経済および政治の戦後動向のなかで、国家の手によりきびしく割引されることにもなったのである。しかし、同法における教育改革に反映されたこところの、国民の進歩のための要求こそは、新しい立場と水準による教育改革への準備であったというべきであろう。(15)アンドリュースはフィッシャー法による実際の改革を高く評価しているのであるが、成田克矢は実現はしなかったが、法制定された内容を ── つまり国家に譲歩させた内容であるが故に、逆に反撃された ── 高く評価している。(16)
1918年法は、そのあらゆる長所とともに、一つの欠点をもっていたからである。それは、ほんとうにはその問題に正面から向かわなかったのである。つまり、初等教育の役割は何か、中等教育の役割は何か、両者の関係はいかにあるべきか、という問題にである。しかし、半世紀にもわたる苦い経験がわれわれに教えてくれたはずのものは、決定的に重要なのはまさしくこういった問題だということである。(19)又、評価の視点においても、小堀氏のように国民統制という点を重視する論者、(20)菅野芳彦のように義務教育年限の延長を重視する論者等、(21)つまるところ評価はまことに混乱しているのである。
16歳までの、及びそれ以上の生徒各人に、一般教育・身体・精神・道徳教育を完全な学年段階の課程により、初等学校が与えるよりも、より広い範囲と進んだ程度で与える全日制及び寄宿学校そして、その課程は外国語を含む古典的な学校を、模範とするものであった。(3) そして、モラントによる中等教育政策は特別優秀な者を中等学校に入れる、という考えを基礎としたものであり、(4) それは国家統制の強化された時期であった、と評価されている。(5)
| 教師の給与引き上げ | 13 | 青年の労働 | 4 |
| 財政 | 11 | 保険・衛生 | 3 |
| 校舎改築 | 7 | 体育 | 2 |
| 奨学金 | 5 | 宗教教授 | 1 |
| 児童の出席確保 | 5 | 戦争労働 | 1 |
| 中等学校の拡大 | 5 | 青年の娯楽 | 1 |
| 教師教育 | 5 | 中央の統制 | 1 |
a.全ての地域に単一の初等学校(uniform elementary school)を設置する。4.財政は苦しいが公的基金によって行う。
b.地方教育当局は、継続学校を設置する義務をもつ。
工場法の適用を拡大して、14歳から18歳の就学していない青年に対して、年間320時間の継続教育を義務化する。その内容は道徳・体育・技術訓練を含むものとする。
中等学校の補助金の増加は、生徒の増加によるものであり、そして、戦時中の労働者階級の財産の増加の最も重要な直接的な結果は、中等学校入学の増加及び在学年限の延長とである。そして、給与の最低基準を定め、全体として上昇させること、初等学校教師の養成を中等学校で行うことを提案している。(4)
(略)
たとえ、初等教育の価値を疑う者があったとしても、戦争の経験によって、その疑いは消えたに違いない。しかし、それにも関わらず教育の維持にとって教師が本質的に重要である。もし、教師が悪ければ、金をかけた建物も施設も大部分は機能せず、教育制度は失敗するであろう。(3)
| 法案 | 修正案 | 決定 |
| 公教育に対する原則的義務 | 同 | 同 |
| 諸計画を教育に提出する義務(継続学校・教育訓練・供給) | 諸計画を教育庁に提出する権利義務(同) | 同(継続学校・職業学校・カレッジ・教員の訓練・供給) |
| 教育長により承認された場合の実行義務 | 同 | 同 親・関係者を代表するようにしなければならない |
| 義務A中央学校・学級・特別学級高等科(courses of advanced instruction) | A同 | A同 |
| capacity circumstances age に 応じる教育 | B同 | B ability, age, requirement に応じる実家教育 |
| C小学校以外への転出・進学の準備 | C同 | C同 |
| D無償の継続学校 | D同 | D同 |
| 権限A教区域における合同委員会 | A同 | A同 |
| B寄付金及び借財 | B同 | B同 |
| C小学校以外の教育への地方税制限(1902年法) | C同 | C同 |
| D休日野営・学校野営・体育施設・社会的訓練の施設・遠隔者用の宿舎・下宿施設・保育施設 | D同 | D同 |
| E教員・学生の研究補助 | E同 | E同 |
| F宗教教員以外の教員の任命 | F同 | F同 |
| G同一宗派の小学校が数校ある時の子供の分配(教育庁の許可) | G同 | G同 |
| H土地購入(教育庁の許可) | H同 | H同 |
| I会議費用(教育庁の規定) | I同 | I同 |
| J子どもに残酷な者の起訴 | J同 | J同 |
| A地方教育当局の計画を認可 | A地方教育当局の計画承認(意見の時は協議・非承認の時は理由を公表) | A同 |
| B継続学校について、通学時期・警告・証明書の規定 | B同 | B同 |
| C特別市以外の市参事会の権限を州参会に移行する | C削除 | C削除 |
| D管理上問題がある時調査委員会(教育庁の任命) | D管理上問題がある時調査委員会(一人以上教育庁が任命、当該地で聴聞会) | D同 |
| E地方教育当局への教育補助(実費の半額議会による停止は不可、地方教育当局の不正の時は減額) | E同 | |
| F地方教育当局が教育法の適用に疑問がある時は、教育庁の解釈による | F削除 | F削除 |
| 5歳から14歳の例外のない就学義務 | 同 | 同 |
| ・地方教育当局は15歳に引き上げることができる(ただし14歳から15歳は免除) | 同 | 同 |
| ・保育学校が十分な時は、6歳まで免除可能 | 同 10人の親の公開審査 | 同 |
| ・通学しない者が効果ある教育を受けているが否かの認定は地方教育当局 | 同 | 同 ただし、教育庁及び教育当局の視察・十分な記録が必要 |
| ・非宗教的教授について、地方教育当局の権限 | 同 ただしそれにより宗回教が受けられない時の宗教の時間の保障障害児はこの規定を同除外 | 同 |
| ・学期は地方教育当局が決定 | 同 | 同 |
| ・14歳で義務就学を終わり、16歳まで就学しない者は、1年360時間の継続学校に就学義務(違反のときは本人及び保護者の罰則) | 同 | ただし地方教育当局が認める時は、280時間以上7年間実施を延期、出席については青年の同意が必要、教育内容については親の意向にそう |
| 雇用制度イ継統学校への通学時間 | イ同 | イ同 |
| ロ12歳以上14歳以下の通学時間 午前6時前・午後8時以降 | ロ同 | ロ削除 |
| ハ14歳以下 | ハ12歳以下 | ハ同 |
| 日曜日は2時間以内 雇用については地方教育当局の許可が必要 | ||
| 就学義務の実施については地方教育当局の責務 | 同 | 同 |
| 通学を妨げたり、健康を害する雇用の禁止(罰則規定) | 同 | 同 |
| 1911年 | 1914年 | 1920年 | 1924年 | ||
| 1 校長 | |||||
| 男 | 435 | 450 | 633 | 767 | |
| 女 | 313 | 324 | 595 | 595 | |
| 2 助教授 | |||||
| 男 | 166 | 174 | 297 | 390 | |
| 女 | 120 | 126 | 212 | 308 | |
| 3 全教授 | |||||
| 男 | 200 | 208 | 332 | 424 | |
| 女 | 139 | 224 | 321 | ||
| 男 | 167 | 173 | 271 | 370 |
| 1921〜22に採用の基準 | 1922〜23に採用の基準 | |||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 有資格 1922.3.31に採用 | 有資格 1923.3.31に採用 | |||||||||||
| 男 | 女 | 男 | 女 | |||||||||
| £ | S | d | £ | S | d | £ | S | d | £ | S | d | |
| J既研修 | 164 | 3 | 4 | 153 | 6 | 8 | 168 | 6 | 8 | 156 | 13 | 4 |
| J未研修 | 153 | 6 | 8 | 142 | 10 | 0 | 156 | 136 | 4 | 145 | 0 | 0 |
| L既研修 | 167 | 10 | 0 | 156 | 13 | 4 | 175 | 0 | 0 | 163 | 6 | 8 |
| L未研修 | 156 | 13 | 4 | 145 | 16 | 8 | 163 | 6 | 8 | 151 | 13 | 4 |
| M既研修 | 137 | 6 | 8 | 162 | 10 | 0 | 186 | 13 | 4 | 175 | 0 | 0 |
| M未研修 | 162 | 10 | 0 | 151 | 13 | 4 | 175 | 0 | 0 | 163 | 6 | 8 |
| 無資格J | 101 | 3 | 4 | 92 | 6 | 8 | 102 | 6 | 8 | 94 | 0 | 0 |
| 無資格K | 103 | 3 | 4 | 94 | 0 | 0 | 106 | 6 | 8 | 98 | 0 | 0 |
| 無資格L | 106 | 13 | 4 | 97 | 6 | 8 | 113 | 6 | 8 | 104 | 13 | 4 |
| 初等教育費 | 教師給与 | 給与の割合 | |
| 1913-1914 | 25,608 | 16,416 | 64.1% |
| 1918-1919 | 34,763 | 24,191 | 69.6 |
| 1919-1920 | 45,294 | 31,356 | 67.0 |
| 1920-1921 | 58,420 | 39,528 | 67.7 |
| 1921-1922 | 60,695 | 41,603 | 62.1 |
| 1922-1923 | 58,424 | 42,188 | 68.5 |
| 1923-1924 | 56,736 | 41,019 | 72.3 |
| 1924-1925 | 57,529 | 41,100 | 71.4 |
教育については地方の努力が大切であって、特にマンチェスターは産業の中心であること同様あるいはそれ以上に教育の中心なのであるから、諸君は文化(culture)が価値あることだということを理解しているであろう。我々がやろうとしていることは大変単純なことなのである。それは、第一に、小学校の条件の改善、第二に、中等学校の拡充、第三に、14歳までの義務就学である。私はジョン・マッコーネ氏からの反対の書簡を受け取った。この三つは良いが、継続学校の義務化、ハーフタイムシステムの廃止には反対だ、ということである。しかし、それによって失う労働時間というものは大変にわずかであって、むしろ得るところの方がはるかに大きいのである。フィッシャーの考えは、綿織物業という狭い範囲では確かに不利な面は多少あるが、より全体的な視野からみれば、産業上も利益になるのだ、ということであった。それ故マンチェスターやランカシャーの業界関係者の不満は、これでは全くおさまらず、先の1.3のヒッベルトの反対が後になっても強硬になされるのである。
第一に、一般的労働への応用力
第二に、労働の習慣の形成(特に女子の場合)
第三に、労働時間の短縮が機械化の刺激になること
法の適用において私が考えているのは、労働時間・順応性における改善・青年労働の減少及び社会の健全化という三つの要素についてである。労働青年は体力において明らかに劣っており、継続学校はこうした面についても配慮することになっており、こうして社会の健全化をはかることが必要なである。どうか、狭い産業的利害のみで考えないでほしい。(9)
| 年度 | 生徒数 | 無償生 | 割合 | 補助金 | 地方税 | 合計 |
| 1914 | 60,453 | 18,310 | 30.3 | 13,772 | 15,555 | 29,327 |
| 1920 | 96,283 | 28,539 | 29.6 | 30,191 | 23,688 | 53,876 |
| 1921 | 95,561 | 33,253 | 34.8 | 38,317 | 32,224 | 70,541 |
| 1922 | 90,601 | 28,829 | 31.8 | 40,002 | 34,059 | 74,061 |
| 1923 | 80,754 | 26,116 | 32.3 | 38,681 | 32,209 | 70,890 |
| 1924 | 80,340 | 27,191 | 33.8 | 38,094 | 30,317 | 68,411 |
| 1925 | 84,567 | 32,161 | 38.0 | 38,489 | 31,345 | 69,834 |
| 1926 | 86,908 | 33,743 | 38.8 | 39,097 | 32,214 | 69,311 |
| 1927 | 88,946 | 37,056 | 41.7 | 39,088 | 32,846 | 71,934 |
| 1928 | 89,253 | 38,097 | 42.7 | 39,582 | 33,197 | 72,779 |
| 1929 | 84,385 | 37,014 | 43.8 | 41,790 | 35,235 | 77,025 |
| 1930 | 86,119 | 39,079 | 45.4 | 42,418 | 37,052 | 79,470 |
| 1931 | 89,682 | 43,823 | 48.8 | 43,778 | 38,485 | 82,263 |
| 1932 | 96,342 | 46.946 | 48.7 | 41,412 | 39,340 | 80,752 |
| 1933 | 92,652 | 43,865 | 47.4 | 38,336 | 39,839 | 78,175 |
| 1934 | 92,490 | 41,106 | 44.4 | 38,518 | 40,522 | 79,040 |
| 1935 | 94.540 | 42,304 | 44.8 | 40,288 | 42,414 | 82,702 |
| 1936 | 93,850 | 42,327 | 45.1 | 42,749 | 43,576 | 86,325 |
| 1937 | 97,115 | 45,957 | 47.3 | 43,922 | 44,968 | 88,890 |
| 1938 | 98,820 | 46,707 | 47.3 | 44,989 | 46,684 | 91,673 |
私は全ての州及び特別市の参事会に対して、管轄区域内の教育の発達と大きな組織の実現に資する規定を設けて、計画を教育庁に提出するよう義務付けるものです。(2)具体的には1.教育庁が諸事項についての基準を設定すること、2.地方教育当局が計画を作成する義務を負い、教育庁が審査して認可する権限をもつ、という二つの内容からなっており、それを実質的に保障するものは補助金であった。この法案に分権主義的な地方教育当局が反対したのはごく自然なことであった。その理由は「統制強化」ということにつきる。ロンドン教育委員会(London Education Committee)の議長のコップ(Cyril S. Cobb)のフィッシャーあて書簡がその気分をよく表現している。
教育庁はもちろん、のろまな当局にその権限を実行し、義務を果たすように強いて行わせる権限をもっていなければなりません。行政の条項は極端な場合のみ実行可能であるようにはなっておりません。条項はあまりに一般的で幅広いという性格を持っています。地方教育当局の経験や行動力を教育庁が奪ってしまうかのような権限の集中をその条項は与えています。(3)教育庁の指導性の原則については、充分認めながら、それが無限定であること、地方の主体性を奪うことについては否定しているのである。これに対するフィッシャーの回答はどうか。長くなるがまとめておこう。
| 都市数 | 都市数 | 都市数 | |
| 1921年 | 1922年 | 1923年 | |
| -150 | 3 | 2 | 1 |
| 150-155 | 1 | 3 | 2 |
| 155-160 | 4 | 3 | 1 |
| 160-165 | 8 | 3 | 5 |
| 165-170 | 9 | 12 | 7 |
| 170-175 | 14 | 16 | 13 |
| 175-180 | 13 | 15 | 18 |
| 180-185 | 17 | 15 | 14 |
| 185-190 | 24 | 19 | 22 |
| 190-195 | 16 | 28 | 26 |
| 195-200 | 16 | 16 | 14 |
| 200-205 | 17 | 21 | 13 |
| 205-210 | 26 | 25 | 30 |
| 210-215 | 18 | 9 | 17 |
| 215-220 | 8 | 16 | 14 |
| 220-225 | 16 | 15 | 9 |
| 225-230 | 12 | 10 | 19 |
| 230-235 | 7 | 14 | 8 |
| 235-240 | 19 | 12 | 11 |
| 240-245 | 7 | 9 | 17 |
| 245-250 | 8 | 20 | 10 |
| 250-255 | 8 | 5 | 6 |
| 255-260 | 6 | 5 | 4 |
| 260-265 | 5 | 4 | 3 |
| 265-270 | 5 | 5 | 7 |
| 270-275 | 5 | 5 | 7 |
| 275-280 | 5 | 2 | 4 |
| 280-285 | 0 | 2 | 4 |
| 285-290 | 3 | 1 | 1 |
| 290-295 | 3 | 3 | 1 |
| 295-300 | 1 | 2 | 2 |
| 300-305 | 3 | 1 | 1 |
| 305-310 | 2 | 0 | 1 |
| 310-315 | 1 | 0 | 1 |
| 315-320 | 2 | 0 | 0 |
| 320- | 3 | 3 | 3 |