臨床教育学コメント 2017.7.6

1 同世代には心を開くといっていたが、同世代だから環境の違いがわかって、逆に話さなくなる人もいるのではと思った。

 環境の違いというのは、ボランティアと被告の間に、それほど大きな差はないと考えられる。陪審員の一定数は、犯罪を犯してTeen Courtで陪審員を義務つけられた者だから、同じ境遇であるし、弁護士や検事役のボランティアも罪を犯して更生したあと、参加している者もいる。

 それから、同世代の意見で裁かれるのはいやだと思っている者は、Teen Courtを選択しないはず。

 

2 前科がつかないからTeen Courtを選択するなら、罪を反省する目的が薄れるのではないか。

 通常の簡易裁判のほうが、反省するきっかけが薄いといえる。Teen Courtでは必ず反省文を書くことを義務つけられるし、被害者への直接の謝罪などを求められることもあるので、反省する目的が薄れることはあまり考えられない。やり直そうという意思と反省が全く別というわけでもないから、やり直す意識を喚起することが、反省にもつながるだろう。

 

3 社会奉仕は自分で選べるのか疑問に思った。ビデオの中で、ホームレスと話をしたい、ペンキ塗りをしたいといっていたため、その作業をしたのか気になった。

 ビデオではホームレスと話したいというのが選んだ理由だった。社会奉仕は自分で選べるというより、自分で探してくる必要がある。関係機関からいくつかを提供されて、そのなかから選択するということではない。自分で探し、やらせてもらえるように交渉する必要がある。そのことも更生のプロセスであると考えられる。

 

4 未成年が裁くとき、責任問題や精神的負担のケアなどの対策は十分なのか。

 Teen Courtはすべて「軽犯罪」であり、殺人事件などを裁くわけではないので、精神的負担のケアということは、通常はおきないと考えられる。すべてボランティアで、自分の意思で参加するのだから、そうしたことを負担と感じる者は、応募しないのではないだろうか。また、ほとんどのTeen Courtは、有罪であることを前提に量刑審査を行うだけなので、精神的負担はあまり感じないはずである。また、社会として認定した制度であるので、裁いた者に責任問題は発生しない。

 ただ、裁判過程の中で、いろいろなことがあるだろうから、個人的に特定の人が被告に恨まれるという事態が発生することは考えられる。その点については、被告とは異なる地域の子どもたちが、ボランティアに採用されるような配慮はなされる。

 

5 その他Teen Courtに対する評価がいくつかあったが、肯定的なものはなかった。

 以前は、ほとんど肯定的なもので、日本でもぜひ導入すべきだという意見が多かったが、時代が変わったのだろうか。