臨床教育学コメント 2016.7.21

Q リスクのある人を公表されて住民は拒否したりしないのだろうか。知らせてもらえば安全というわけではないと感じる。(他、差別の目でみられるのではないか。)

A 拒否されることが多いと思います。情報はまず不動産屋に開示されるので、部屋を借りることが難しくなり、また、家族と一緒に住んでいる場合でも、様々ないやがらせを受けるとされています。実際に暴行を受けることもあるようです。ただ、住民の側からみれば、気をつけることになるので、安全性は高まるでしょう。

 

Q ソシオメトリーでどのくらい関係性を把握して犯罪者同士の結びつきを把握できるのか。

A 現在は刑務所での割あてにソシオメトリーが使用されているとは思われないので、有効性は不明です。あくまでもモレノがソシオメトリーの作成を依頼された理由がそれだという歴史的経緯として理解してください。

 

Q 情報の公開に関して、アメリカではマスメディアなどが犯罪者の情報を拡散させてしまうことはあるか。

A 英米系のメディアは事件報道を派手に行う傾向があるので、大いにあると思います。日本も英米系メディアの性質が色濃いので、事件があると、ワイドショーやニュースで派手に扱うので、拡散傾向は高いといえるでしょう。

 

Q 日本の刑務所で災害時に一時囚人を外にだして、あとでほとんど戻ってきたというのが不思議だった。刑務所のほうが安定下生活をおくれるということなのか。

A いろいろな理由があるでしょうが、そのあとつかまったときに、刑が加算されること、逆に約束どおり戻れば早く仮釈放できる可能性も高まる、更に脱獄犯として不安な中で生活するよりは、戻れば生活は安定しており、刑期をつとめれば正式に出られるというような理由ではないでしょうか。

 

Q スウェーデンの開放制刑務所で、囚人が更生しているというのは、誰が決めるのか。明確なきまりがあるのか。

A もちろん、詳細が規定があるはずです。そして、心理判定員や普段接している担当者の検討で許可がだされます。心理判定の基準もあるでしょうが、それをパスした人たちが、個別にチェックされてオーケーとなります。

 

Q 刑務所にはいっていたものが、勉強して教師になっても、社会が受け入れないということはないのか。受け入れられなくて、また犯罪者になってしまうことはないのか。

A 個々多様な状況があるはずなので、絶対にないとはいえないでしょうが、そういうシステムを社会がとっている以上、正式に採用試験に合格したのに、社会が受け入れないということは、あまりないのではないでしょうか。

 

Q 性犯罪の再犯率は高いのか。

A 授業でも説明したように、性犯罪の再犯率はとても難しいのです。

 一般的に、レイプなどの凶悪犯罪では、罰を受けたあとでも、再犯率が高いといわれています。欲望の強さ、また、犯罪傾向の深刻さなどが影響しているでしょう。逆に、痴漢などの軽い性犯罪では、有罪語の再犯率は非常に低いといわれています。気が弱いひとたちが多いので、罰せられることへの拒否感が強いこともあるでしょうし、また、痴漢などはつかまりにくいので、実際には再犯しているけれども、つかまらないので、カウントされないということもあるかも知れません。

 そして、つかまらない性犯罪は、おそらく窃盗とともに、最も再犯率の高い犯罪であると考えられます。それは歪められた欲望が要因だからと考えられます。

 

Q 開放制刑務所はよいと思うが、本当に危険な囚人は戻ってこなくなるのではないか。試験のときに、うまく対応して、更生したようにみせかけるような囚人は。

A 確かにそういう人が皆無ではないでしょうが、脱獄はごく稀にしか起こらず、また起きても間もなく捕まってしまうのが実情のようです。