臨床教育学コメント 2016.5.19授業

Q 中ランを聞いている生徒をみんなの前で話していたが、今なら、1対1で対応するのだが、周りにも状況を理解させようとしていたので、こういうやり方もあるのかと思った。

A これは、今後も扱う「プライバシー」「個人の問題」との関連もありますが、基本的に、学級は集団であり、オープンな形で問題を共有し、全体として解決するというのが、基本だと思われます。教師と問題生徒の11で解決しても、それが全体の共通認識にならなければ、問題が解決されたことにはなりません。

 

Q 班のリーダーを選ぶときには、教師の力が大きな影響してしまうのか。

A 教師が影響力を行使する場合も、しない場合も、それぞれに影響すると思います。教師の価値観にそったリーダーを教師が専ら選んだら、その価値観と生徒の価値観とがうまく調和しないときには、選ばれたリーダーが浮いてしまうことになるでしょうが、それも教師の影響力のひとつと考えられます。全く逆に、教師が自分の考えなどを全く反映させずに、生徒に自由に選ばせれば、生徒たちの価値観が反映され、教師がコントロールしようと考えても、あまりうまくいかないという点で、影響しているといえます。

 そうしたことをすべて含めて、教師はどのように影響力を行使すべきか、きちんと自覚して対応する必要があると考えられます。

 

Q 昔の「ワル」と今の「ワル」は違うと感じた。昔の方が人間味があり、今のほうが軽薄な感じがした。A 今の「ワル」にはどのような指導をするのが、効率的なのか。

今の「ワル」が軽薄というのが、分かりにくいですが、残虐な面が強くなっているという点も特徴だと思います。おそらくメディアで過激な暴力がたくさん流れていることも影響しているでしょう。ただ、「ブリキの勲章」の観点からすれば、本物の勲章を獲得できるように指導するのが、基本であることに変わりはないようにに思います。

 

Q 中ランを「じゃ、すぐに直してこい」といっていたが、そんなにすぐ直せるものなのか。

A 映画では、はっきり聞き取りにくいのはたしかですが、「すぐ着替えてこい」といっているので、直しにいったわけではありません。おそらく、普通の学生服と中ランとを二着もっているのでしょう。

 

Q 班のリーダーの選びかたは二通りあるということだったが、どちらが多いのか。外国ではどうか。

A そういう統計は見たことがないので、全国的なことはわかりませんが、これまでのこの授業できいてきた感じでは、班員を先に選ぶのが多いと思われます。外国(欧米)では、こうした班学習はそれほど一般的ではないし、あったとしても班長がいるかどうかは疑問です。

 

Q 根本も生徒をまとめるための道具として使っているように感じた。根本が更生していくとは思えなかった。あのようなやり方が現代でも通用するのか疑問だ。

A 根本のような生徒を1年間の学校での指導、それも中学3年のみんなが受験をひかえているなかで、更生させることは、もともと無理でしょう。大事なことは、学校生活がきちんとしていることであって、それ以上のことを学校に要求されても、学校としては困るのではないかと思います。家庭や地域でワルになってしまった子どもの更生は、やはり、基本は家庭や地域、そして更生機関の仕事であるように思われます。

 根本を道具として使っているというのは、あまり理解できません。どういうところでしょうか。