2016.5.12

Q 不登校になったきっかけで、いじめよりもいじめを除く人間関係とあったが、学校内におけるいじめを除く人間関係には、どのようなものが該当するのだろうか。いじめの前兆のようなことを指すのだろうか。

(同趣旨)それはいじめと認識せずに本人、まわりが単なる友人関係の問題と捉えている、もしくは、いじめに発展する前に不登校として逃げ道として捉えているのではないだろうか。(他にも同趣旨いくつか)

A 結局個人差があるので、いくつかの理由を想像するしかないのですが、そもそも日本の子どもが学校にいく最大の理由は、友達と一緒にいることが楽しいという理由です。いじめは、友達から受けるのではなく、自分をいじめるような人は友達と意識しないでしょうから、(もちろん、当初は、友人からいじめられることもあるだろうけど、いじめが継続していれば、友人意識は消えるだろう。)いじめを受けていればこそ、逆に友人と過ごすことを重視するのかも知れません。しかし、友人との関係が壊れてしまった場合には、学校にいく最大の理由が失われるわけなので、そこで学校にいく魅力を喪失してしまうのではないでしょうか。

 

Q ゆとり教育が終わったから不登校が増え始めたことで、勉強をしなければいけないという気持ちよりも、勉強に対するストレスが大きかったのかと疑問に感じた。

A 学力を重視する教育が行われれば、必ずついていけない子どものストレスは大きくなり、また、ついていっている子どもでも、不安感がつきまとう傾向が出てきます。したがって、このふたつの志向性は、いつもシーソーのように揺れ動いてきたのが、歴史的事実です。

 

Q 日本はオランダのように、不登校に対する対応の仕方(卒業資格など)があいまいであるが、他の外国では、不登校の対応して、どちらの国の場合が多いのか。

A 先進国では、日本流は少ないと思います。途上国では、学校に行かずに働く子どもたちも少なくないので、まだまだ学校に行かない状況が放置されている国も少なくないでしょう。

 

Q オランダでは卒業が認められると自動的に進学できるといっていたが、それはどの大学にでも入れるということか。

原則はそうです。これはオランダに限らず、ドイツ、フランス、イタリア等々、だいたい大陸系はそういう制度であることが多いと思います。しかし、現実に、アメリカと違って、ヨーロッパは国土がそれほど大きくないし、たっぷり敷地があるわけではないので、人数制限する国と、比較的希望を重視する国とに分かれるようです。

 オランダの場合には、第二志望まで書かせて、調整するのが普通です。フランスやイタリアはパリ大学やローマ大学に希望が集中して、マンモス化してしまったのが、大分問題になりました。原則はまげないまでも、何らかの調整はしているのではないでしょうか。

 ただ、注意すべきは、ヨーロッパは、アメリカや日本と異なって、大学はまだまだ大衆化しておらず、エリート性をそれなりに保っています。中等学校の卒業はかなり大変なので、みんなが大学にいくわけではありません。それから、どの国でも医学部は成績による選抜が行われます。それは、医学部は、希望者が多いけれども、どこでも少人数で教育するためだということと、人の命を預かる重要な職業人を養成するためと考えられます。

 いずれにせよ、大学入学資格は、高校の卒業資格なので、大学に成績に基づく格差意識はありません。

 

Q 不登校になると小学生の頃は先生が訪ねてきたりしていたが、大学になるとそれがなくなるのはなぜか。

A まず、大学には、「不登校」という概念が存在しなかったということ。出席管理をそれなりにしっかりするようになったのは、最近のことで、以前は大学では出席確認をとらないのが、むしろ普通でした。また「学校に来るか」どうかの確認は、現在でも一切しておらず、あくまでも授業出席のみで、その授業は完全に個別なので、不登校であるかの確認にはなりません。

 高校までのような「クラス」が存在しないので、同様の担任がいないわけで、訪問をする人がいません。(ちなみに、文教大学では、担任機能を充実させようという指導がなされており、人間科学部では、以前から担任機能を重視していますが、高校までのように機能することは困難でしょう。)

 最後に、家が広範に渡っているために、訪問がそもそも難しいこと、また、近くに一人暮らしをしている場合には、訪問そのものがプライバシー問題や、セクハラ、パワハラ的な要素をもってしまう等の問題があり、名文によるものではありませんが、教員が学生の住居を訪問するのは、禁止されています。

 以上のようなことから、不登校状態であると認識された学生に対しては、大学は「呼び出し」をするのが通常です。したがって、呼び出しに応じない場合には、そのままになってしまい、授業料も払われないでしょうから、除籍になります。

 

オランダでは移民の親が、学校を選ばないということがあり、不登校が多いというが、この場合、親は訴えられないのか。また、同じ親から悪いイメージをもたれたりしないのか。

A 罰金を課せられることはありますが、それ以上の刑罰などはないと思います。ただし、不登校になって義務教育を修了しなければ、労働ができないのですから、まったく放置状態を続ける親は、それほど多くないと思われるし、その結果は、子どもが働けないことになるので、それが最大の罰になるでしょう。

 その親がどういう人間関係にあるかによるでしょうが、一般的には、よいイメージをもたれないだろうし、忠告もされると思います。

 

Q 不登校の生徒に対する措置について詳しく知りたい。特に学校川からの措置について。

A 前回授業で見ることができなかった資料に、あります。

 

Q 精神的な問題で不登校になる人が多いとあったが、無気力などの精神的問題は、何が原因か疑問に思った。

A 授業中にも説明したように、健康な人の誰でもなりうる無気力は、生活のなかで、希望していたことが適わなかったり、あるいは叱責されたり、様々なうまくいかない事情で、気分が落ち込むことがあるかと思います。そういうときに、自分の無力感を感じることはごく自然なことでしょう。ただ、そうした場合は、ほとんどが時間が経てば気分を取り直し、無気力状態から抜け出ることが多いと思われます。

 こうした事例とは異なって、精神的な疾患を患っている場合、その賞状として無気力状況になることがあるということです。この場合には、診断と適切な治療が必要だといえます。

 

Q 高校で不登校が増えるのは、自ら選択した学校なのに、不登校になるとは中学との違いはあるのか。

A 高校を自ら選択したと言い切れる高校生は、それほど多くはないでしょう。かなりの高校生は、偏差値で合う学校を余儀なくされた感じは、多少なりともあるはずです。また、高校の勉強は、中学に比べれば格段に難しくなるし、また、義務教育でもないこと、そして、多くの場合、中学よりも遠距離通学であることなど、行かないことへの気持ちが転換することは、中学より容易なのではないかと考えられます。