国際教育論 コメント 2014.6.9
1 麻薬バスやコーヒーショップと偽って麻薬を飲んでいることを知り、怖くなった。
A 別に偽っているわけではなく、オランダ人なら誰でも知っています。また、その麻薬は合法です。

2 麻薬や売春が合法化している国家であるが、犯罪率はどのくらいでしょうか。
A 全体としての犯罪率というのは、すぐにはわかりませんが、オランダは、軽犯罪が多いことで知られており、犯罪組織は非常に弱いとされています。凶悪犯罪はあまり起きません。最近は変化しているようですが、自転車ドロボーが多いことで有名です。

3 何故ワークシェアリングが日本では実施されないのか。
A これだけで、かなり壮大な研究テーマでしょう。
 まず実施したいと思う人がいるかということがありますね。日本人は権利意識が比較的弱いために、失業者が自分たちに仕事がないのは不当で、働いているひとたちが、自分たちのめたに譲るべきである、という意識をどれだけの人がもつかということ。それから、働いているひとたちが、余裕のある生活をしているわけではなく、かなり働いていても、それほど多くの賃金をえているわけではないひとたちもけっこういます。そうすると、それを削って、もっと生活にゆとりをもちたいと思っても、そんなことをしたら、自分たちの生活ができなくなる、という意識も強いのではないかと思われる点があります。
 しかし、私が思うには、やはり、日本型経営の特質が、ワークシェアリングにはなかなか適合できないという点があると思います。
 欧米は職務給なので、ある仕事に対しては、誰がやっても、同じ給与になるのが原則です。だから、その仕事を半分にして、ふたりでわけあった場合、給与は半分ずつになります。分け合う方も、また仕事を与える方にも、それは明確なのです。ところが、日本は年齢給が加味されているので、その仕事をどの年齢の人がやるかで、給与が違ってきます。だから、簡単に分割することはできないという事情があるのです。おそらく、多くの人がワークシェアリングを支持しても、このことが解決されないと、困難ではないでしょうか。

4 麻薬を一回でも手をだすと、さらに多くをほしくなるといいますが、オランダ政府はそれに対策をとっているのだろうか。
A 合法化している麻薬は、主要には大麻であり、たばこほどの習慣性もないといわれています。そういうものに限って合法化しており、つよい麻薬は当然非合法です。麻薬バス等での投与は、処方箋を記録してあるので、次第に弱めるようにしているそうです。

5 障害者村のような、障害者を隔離するような制度は賛同しかねます。
A 紹介したアーネムの障害者村は隔離施設とはまったく異なります。外部から自由にはいれるし、また、そこの住民が外に出かけるのも自由です。障害者が一緒に住んでいるのは、欲していることが互いに理解しやすいこと、また、仕事などは、やはり、特別の配慮が必要なので、障害者に適した仕事を斡旋するために、共同生活をしていると便利だというようなことが、障害者村を設置した理由だと思います。別に、以前の日本のような、ハンセン氏病患者を強制隔離したような制度とは全然違います。

6 麻薬バスを利用するのは、中毒患者でしょうか。それとも警察官や教師などのようなひとたちも利用するのでしょうか。
A 麻薬バスは中毒患者オンリーだと思います。エイズの問題もありましたが、中毒患者は、無料の麻薬がないと有料の麻薬を手にいれるために、犯罪を犯します。それが、前に書いた自転車ドロボーになることが多いのですが、無料であれば、犯罪を犯す必要がないので、それだけ社会の安全にもなっているとして、必要悪と認識されているのではないでしょうか。まっとうな人は、麻薬バスを利用することはないと思います。

7 コーヒーショップでうる麻薬はどこで入手するのですか。
A 大麻が合法化されているということで、必要限度量で、栽培も認められています。コーヒーショップで栽培していて、それを売ることが多いようです。

8 麻薬が合法化されているとしても、その職業に従事している人が非難されることはないのだろうか。
A その職業というのは、よくわかりませんが、たとえばコーヒーショップの経営者というような意味であるとしたら、非難するか、しないかは、人によって異なるのではないかと思います。もちろん、一定量という制限があるので、それをこえれば違法ですから、つかまったりします。