国際教育論コメント 5回 

2014.5.31
1 いろいろな専門分野を学ぶことができる学校が、日本にもないでしょうか。
A 日本の高校は、戦後改革で、総合制高校として構想されたので、そのようになることが期待されたのですが、やはり、普通科中心の発想が、職業的な内容も含めて、さまざまな専門を幅広く学ぶという高校は実現することがありませんでした。総合制といっても、普通科と職業科が並列しているだけで、両方を学ぶことができる学校もほとんどなかったと思います。現時点では、埼玉県にある伊奈学園総合がそれに近いのではないかと思います。

2 欧米で、大学の格差が感じられているのは、アメリカの有名私立大学と、イギリスのオックスフォード、ケンブリッジ程度ではないかと思います。もちろん、ある程度の優劣が感じられるとしても、日本のような固いものではありません。また、フランスでは、もっともレベルの高い高等教育機関は、高等専門学校と呼ばれるもので、大学でもありません。
 以上のようなものを除けば、大学は、それほど優劣がないので、どの大学に進んでも、学歴フィルターにかかるということはあまりないでしょう。もちろん、何を学んだかはとても重要なので、就職するときに、学んだ内容が問われることは通常だと思います。

3 2年ほど前に、デンマークの教育で、9年では学び足りないので10年目の義務教育をうける学校が紹介されていたが、それとエフタスコレは違うものでしょうか。
A それがエフタスコレです。

4 森の幼稚園をみて、「パン作りに意欲がない子は、強制しない」とあったが、小中学校になじめるのか。いやなこと、めんどうくさいことも、みんなと同じようにやるが、集中力は持続するのか。森の幼稚園は、子どもたちのその先の為になるのかとかがてしまった。
A これは、次々回のサドベリバレエで扱う題材を多く含んでいるので、そちらにまわします。

5 PISAで上位になる国は人口が少ないとあったが、日本は昔子どもが多かったのに、今より学力が高かったのはなぜだろうと思いました。
A PISAの学力については、始まった当初と現在とで、子ども人口の差はあまりないと思います。また、ゆとり教育が行われていたという点もかわりありません。その点でいえば、最新のPISAは若干もちなおしたので、ゆとりの修正が効果的だったという見解がありますが、それも十分に検証されているわけではないと思います。
 PISA以前の数学のテストなどで、日本の学力が高かったのは、参加国が極めて少なく
日本で強調されていた問題を決められた解放で解くような問題が多かったためであると考えられています。また、その当時は、少子化というよりは、子どもが多く、受験戦争がまだまだ続いていた時期で、子どもたちが受験のために、今よりは真剣に受験勉強に励んでいたという事情があると思います。PISAは日本で重視されてきた学力と質が異なる能力をはかっているので、当初困惑が広がったのです。

6 森の幼稚園で教えるには、専門性が必要だと思うのですが、特別な資格はあるのでしょうか。
A 正確にはわかりませんが、森の幼稚園用の特別の幼稚園資格はないと思います。確かに、通常の幼稚園では必要ない、植物や動物についての知識や、怪我の対応等、特別な能力や知識が必要だと思いますが、それは、基礎的な幼稚園の免許の際の学習にある程度含まれているでしょうし、さらに森の幼稚園の教師になれば、勉強もするでしょう。基本的に欧米では学校の個別採用ですから、採用の際に、その点が確認されるでしょうが、それは面接で必要な知識や情熱があるかどうかが試験されるのだと思います。