国際教育論 コメント 2014.5.19

1 バウチャー制、チャータースクールは公立だから家庭で多額のお金を払わなくていいということですが、日本では、なぜ教育に多くの予算を回していないのでしょうか。
A バウチャー制、チャータースクールともに、既存の公立学校の予算を、そちらで使うだけのことなので、余計に予算を増加させているわけではないのです。バウチャー制は、予算を学校に配分するのではなく、いったん保護者を経由させるだけで、多寡はありません。チャータースクールは、チャータースクールに入学した分だけ、公立学校の予算を削って、チャータースクールにまわするので全体の教育費はかわりありせん。だから、公立学校側から非常に強い批判が、チャータースクールにはあります。

2 日本では山学共同が進んでないように感じるが。
A 日本でも最近はかなり進んでいるようです。
 日本で盛んではなかったことは、日本では、「基礎研究」を重視する風潮があり、応用研究主体の企業とは、体質があわないことがひとつ。企業の研究所が非常に優れているので、大学に頼る必要があまりなかったという事情。戦前、産学共同が軍事研究に偏りがあった点の反省などがあったように思います。
 日本で国立大学が、法人化されて以降、大学の側での予算獲得の必要上、産学共同が進んだと思われます。

3 ホームスクールの報告はどのようなものですか。
A ポートフォリオを作成して提出します。ポートフォリオというのは、自分が何を勉強したかの記録です。簡単な報告でもいいようですが、通常はそこにノートとか、作成した資料などを加えることが多いようです。

4 アクレディテーションで、卒業して不利になることはないのでしょうか。
A アクレディテーションは、アメリカの私立学校認定の基本的な体制なので、それ以外があるわけではなく、有利・不利はないと思います。どのような協会の認定をうけた大学であるかの判断は、企業がするのは当然だと思います。

5 ハーバード大学は、1日にいくつもあのような授業を行っているのでしょうか。卒業に必要な単位はあるのでしょうか。
A もちろん、いくらでも同じ日に行われていると思います。あそこまでやるのは、大学院なので、学部の授業がみんなあのようなものではないと思います。また、緩い教師もいるでしょうし、ゲストを呼んでの授業などでは、むしろ学生からの質問などが主体になるでしょう。
 卒業単位は当然ありますが、日本と単位についての計算方が異なるので、大学ごとに確認したほうがいいと思います。

6 アファーマティブアクションがわかりにくい。
A 人を採用するときに(雇用・入学)、地域の人種構成を考慮することです。もちろん、やりかたはいろいろあり、人種構成といっても、かなり少数の場合もあるでしょうから、厳密に実行することはむずかしいし、枠を数値で予め決めるのか、あるいは、実際に点数が出た時点で、考慮する程度なのか、ひとつの方法があるわけではありません。また、義務付けられているのは、公的な機関や連邦の補助金を受けている場合ですが、そうでない場合でも、あまりに白人ばかり採用されていると、社会的批判をうけることがあります。

7 セサミストリートで、人形に多彩な色が使われているのは、差別と関係あるのでしょうか。
A 正確なところはわかりませんが、ヘッドスタート計画の趣旨から、様々な皮膚の色の人達が仲良く、一緒に行動するという理念を表現していると思います。

8 アファーマティブアクションについて、やさしく解説している本を紹介してください。
A 簡単な説明は6の通りですが、解説となると、いろいろな立場を踏まえてということになると思いますので、問題そのものがやさしくはありません。非常に優れた解説として、

 黒崎勲『教育と不平等』(東大出版)をあげておきます。