国際教育論コメント 2014.7.7
1 フレネ教育で何人か一緒にやることはないのでしょうか。
A 紹介された原先生の本ではありませんでしたが、おそらくだめということはないと思います。集団的な協調性も重要な要素と考えられているので。

2 フレネ教育や生活つづり方教育で、競争意識が生まれることはないのだろうか。
A 競争意識が生まれないかどうかは、子どもたちの状況や、教師の指導法にもよるでしょうが、少なくとも「競争を目指した」教育でないことは確かです。競争意識が生まれることに肯定的な見解をもつこともないと思われます。一般的にいって、いい意味での競争意識はありますし、それがよい結果をもたらすこともありますから、競争意識一般を否定的に扱う必要はないでしょうが、フレネ教育やつづり方教育が、積極的に競争意識に依拠することはありません。

3 高専というと、機械系とか理数系のイメージがありますが、海外も同じようなものでしょうか。
 これまでやったオランダなどの高等専門学校は、大学よりはワンランク低い職業的な高度な専門教育を行うところです。大学は、アカデミックな領域を扱うという意識がヨーロッパで強くあります。
 それに対して、フランスの高等専門学校は、完全なエリート学校であって、大学よりも格が断然上です。フランスの大学は、バカロレアという高等学校卒業資格試験に合格すれば入学できるのですが、高等専門学校は、独自のかなり難しい入学試験があります。フランスの有名な知識人は、ほとんどが高等専門学校出身です。

4 生活つづり方の教師の負担は大きいのではないか。
 非常に大きいです。しかし、そのことによって、子どもとの間のコミュニケーションが十分にとれ、また、子どもたち同士がお互いによく認識しあい、そして、問題解決能力がつくことによって、大きく成長するので、教師の醍醐味は非常に強く味わえると思います。


国際教育論コメント 2014.4.14
1 詳しい知識をもった教師をどのように見つけてくるのか、人件費も高いだろうし、学費はどうなっているのか。
A 「優れた教師」というのは、グリンバーグさんのような人を指しており、そう簡単には見つからないでしょう。学費はかなり前の資料ですが、その当時は年間2000ドル、20万円とかいてあまりした。日本の私立高校などに比較しても、かなり安いと思います。常勤スタッフが少ないことと、設備などがほとんどないに等しいので、これでやっていけると思います。日本の世田谷のサドベリバレイは、土地代金が高いので、経営が楽ではないと思います。

2 ボストン以外の学校はどのような敷地なのか。
A 前に文教の学生がアメリカの西海岸の学校を訪問したことがありましたが、かなり狭い、都会の小さな建物だったような気がします。日本の世田谷の学校も、おそらくそうだろうと思います。

3 サドベリバレイ校で、卒業後失敗した人はいないのだろうか。また、自分はあきっぽいので、無駄に時間を過ごしてしまいそうだが、4歳から通えば熱中することに出会えるのだろうか。
A 卒業後失敗した人がいるとは思いますが、かなり大規模に行われた卒業生調査では、自分なりの成功を感じている人が多数だったということです。ただ、成功というのを、あまり大きなこととして考えるのではなく、自分のやりたいことができて、それをまわりから評価されているというレベルのことで考えています。
 途中から編入してきた子どもよりも、最初からいた子ども、編入した子どもでも、優等生でない子どものほうが、早く適応できるといわれています。

4 子どもたちがした「やりたいこと」を評価するのは誰なのか。評価は公平に行われるのだろうか。
A 評価そのものが、一切ありません。

5 サドベリバレイ校の卒業生が日本の大学に入学できるのでしょうか。また、修学旅行のようなものは、外国の学校にあるのでしょうか。
A 日本の大学に入学できるかどうかは、12年間の教育を受けているので、出願はできると思います。大学によるとは思いますが、法的には問題ないでしょう。逆に、日本のほうが、入学試験をやるので、出身は問わないと思います。大学検定でもいいのですから。
 修学旅行は、少なくとも欧米の学校には普通ありません。

6 協調性が育つのか。また、漢字などは、積み重ねで習得するもので、無理にやらせないと覚えられないのではないか。
A 協調性については、臨床教育学で詳しく扱いましたが、通常の学校よりは、育つとグリンバーグさんはいっています。日本の場合の漢字学習については、卒業生がまだいないので、なんともいえません。

7 サドベリ式の教育が日本の教育に取り入れられている部分はあるのか。
A 少なくとも、サドベリ式の教育をおこなっている学校では、十分取り入れているでしょうが、普通の学校にはないと思います。