国際教育論第2回での質問への回答
1 直ミンチから独立して発展したインドやブラジルはまだ発展したといえないのか。
A インドやブラジルはBricsと呼ばれていて、先進国の次の段階と称されています。国際政治の場では、G7、G8、G20という構成になっていて、ふたつはG20に入っており、国際的な力をもっていると思います。
2 アメリカで進化論が教えなく、神が世界を造ったと教えているのは驚いた。また、神は存在しないと思うが、存在していたら、戦争はもっと少ないだろう。
A 創造説が学校で教えられていたのは、1960年代までです。今は進化論が教えられています。しかし、創造説を教えるべきだという人たちがあいかわらず頑張っていて、知的計画説という新しい(実は創造説)をたてて、それを教育委員会の定める学習指導要領にいれようと、あちこちで運動しているわけです。
 また、いろいろな神話における神は、けっこう戦争が好きなので、神が本当にいたら、もっと戦争が起きるかも知れません。
3 アメリカといえば、太っている人が多く、豊かなイメージがあったが、・・・
A 太っている人が多いことと、豊かなイメージは間違っていないが、両者は対立する。太っている人は貧しい人がほとんどで、最高に豊かで、超エリートたちは、けっして太っていないのが、アメリカ。アメリカのエリートというのは、小さいころから、特別な教育を受け、特別な文化的環境の中に育つ人が多くなっています。そして、アメリカでは、体重コントロールができない人は、だらしない人で、太っているだけで、エリートにはなれないといっても過言ではありません。栄養も十分に考えられているし、スポーツを定期的に行っている人が多いので、体型的にはスリムな人が、エリートではほとんどです。
 逆に、まずしい人は、栄養を十分に考慮しないで食事をし、高カロリーの食べ物を大量に食べる傾向があります。また、スポーツ施設などに払うお金もないし、また、時間もないので、どんどん太ってしまう人が多いのです。
4 日本はアメリカから教育制度を導入したのに、スウェーデンは教育先進国で、アメリカは後進国なのか、疑問に思った。
A アメリカは教育先進国です。
5 社会民主主義がよくわからなかった。
A 社会主義にはさまざまな立場がある。大きく分けると、所得再分配を大規模に実施して、経済的格差を福祉政策によって埋め合わせることを重視する立場。(イギリスフェビアン主義や、ケインズをここに入れる場合もある。)また、経済的格差が生じる基本的原因が、生産財を私的に所有することにあると考えて、消費財のみの私有を認め、生産財は社会的所有、あるいは国有にする必要があると考える立場。マルクスの立場はこれ。そうした経済的側面と、政治的な側面としての民主主義については、フェビアン主義は議会主義で、もともと民主主義原則を重視しているが、マルクス主義の内部では、議会での多数派を形成して、民主主義的に経済改革を社会主義的なものに進めていくと考える立場と、それは幻想で、結局革命が必要で、強力をもちいて、政府を転覆する必要があるとするという立場に分かれている。前者が社会民主主義といわれ(ひところは、修正主義といわれた)後者がレーニンの立場となる。
6 農業が主な地域で、昔の日本のように、今でも義務教育なのに、家業優先の考えがありますか。
A 農業の形態によって違うのではないか。アメリカやヨーロッパのような工業的要素の強い農業では、知識・技術が必要なので、学校教育を軽視することはない。しかし、アジア、アフリカではまだあると考えられる。また、そういう地域では、農業でも食べられないので、小さいころから子どもが、都会に働きにいくことが、減少しつつはあるが、まだあると考えられる。
7 アメリカは奨学金が重質していますか。自由型の教育なので、ないかと思っていましたが。
A アメリカのような、金持ちのたくさんいる国には、寄付する人がたくさんいる。寄付が税金対策になるので、奨学金のための寄付がけっこうあるので、そうした資金をもとに、奨学金が給付されることは、めずらしくない。ハーバードのような、お金もち学校は、逆にたくさんの寄付が集まるので、非常に優秀な人は、奨学金をもらい安い。
 また、アメリカは他方、金融が強いので、進学ローンが浸透しており、とくに大学ではローンを借りている人が多く、卒業後こまる事例も少なくない。
8 フランクリンの実証精神(プラグマティズム)が、どのような場面で用いられているのかが知りたい。
A 基本的に、アメリカの生活を覆っている原則ではないか。