国際教育論コメント 2018.7.9

Q ヒンズー教のように、何らかの理由で補助金をカットされる等で経営できなくなった例はあるか。

A おそらくヒンズー教の場合には、新旧対立という特殊事情があったと思われます。ただ、例外的だと思われますが、いじめ対策などが不十分で、人気が落ちて廃校に追い込まれた学校があると、留学当時新聞で読んだことがあります。しかし、一般的に、応募が少なくなった場合には、系列校で提携し、統合することによって、人数確保することがよくあります。特に、補助金のための最低人数の改定があって、人数が引き上げられたときに、統合が進みました。しかし、あくまでも形式的な統合で、実際には、それまでの学校が分校という形で残るために、実質的な学校数の現象は起こりませんでした。ただ、校長の数は少なくなるので、国としては、補助金削減効果があったようです。

 

Q オランダでは、義務教育を修了しないと労働資格がないということだが、児童労働の問題がないのか気になった。

A 児童労働の問題とは、児童を不当に雇用することがないかという意味であれば、少なくとも表面的にはないと思います。

 デンマークでは、中学生の年齢で、一日の中で短時間アルバイトとして雇用してもいいことになっています。デンマークのスーパーマーケットでは、中学生が商品を棚に並べているのをよく見かけました。税金が高いので、家庭ではありがたがっているという話でした。オランダでは、スーパーなどで働いている中学生をみたことはありません。

 

Q オランダで児童対象の犯罪はないのか気になった。学区にとらわれないことは、安全面でどのような配慮がなされているのか。

A 児童対象の犯罪があるのは、世界中どこでも妥当すると思います。当然厳しく扱われているはずです。

 登下校の安全の問題に関していえば、責任が家庭にあるとされており、したがって、小学生の間は、親が送迎することが普通です。私たちも、交代で送迎しました。昼食を家で食べていたので、大変でした。ただ、今は、学校で昼食を食べられるようにすることが、学校に義務付けられているので、昼食の送迎はかなり少なくなっていると思います。

 

Q フレネ学校の教材作成は1週間のうち、どのくらいの時間が割り当てられているのか。

A パワーポイントに時間割が掲載されていますので、それで確認してください。

 

Q 学校選択自由でも、自分のやりたいことができる学校にいくから、あまり特定の学校に集中しないということですが、日本よりも、早期から何をやりたいかを意識した教育をそれまでに受けるのか。日本よりも偏差値やレベルに関しての興味はオランダでは薄いのか。

A まず、「偏差値」というのは、日本人が発明した、日本でだけ使われている統計的な数値であることを確認しておきましょう。偏差値などが存在しないのですから、興味もなにもありません。

 レベルに関する意識は、教育内容のレベルであって、日本の生徒たちの同一類型の学校の偏差値の高低に関するものではありません。

 VWOは、大学に接続し、その準備をする必要から、非常にレベルの高い教育を行う学校。HAVOは、高等専門学校に接続する、多少レベルの低い内容(難しい古典教育などがあまりない)、そして、BMVOは、中等専門学校にいくための、職業的な内容がはいってくる教育、というように、レベルと内容が区分された学校類型になっているわけです。そして、同じ類型の学校の中では、レベルの高低などは、まったく意識されません。

 

Q 日本でも着衣水泳をやったほうがいよいのではと感じた。

A かなり実施されています。ただ、オランダのような切実な必要性がないので、日本での着衣水泳は、経験することに意味がある程度の目的で実施されているようです。

 

Q オランダで、校長と教員が最初から分かれているのに驚いた。若い校長に年配の教師がついていくのか。日本は年功序列だが、オランダでは年齢が関係ないのか。

A ついていくかどうかは、その校長の力量や人格によるもので、年齢はあまり意識されないと思います。もともと養成課程が異なるし、地位が違うわけですから。

 

Q オランダの子どもは、幸福度一位ということだが、不登校やいじめなどの問題はないのか。

A 臨床教育学で説明したことですが、不登校は、日本よりもかなり多いのが実情です。

 不登校は明らかに日本よりもかなり多いのが実情です。その最大の理由は、イスラム教徒の移民が多いことだと考えられます。言葉の壁から、どうしても授業の理解が不十分になること、イスラム教では、特に女子の教育に否定的な側面があると言われており、不登校を宗教的に是認してしまう親が少なくないことなどがその理由です。

 また、イスラム教徒に限らない理由としては、オランダでは、学校選択の自由が認められている裏の側面として、明確な理由があれば、義務教育段階でも退学処分にできるのですが、一旦退学となっても、次の学校を探して登録すれば問題はないのですが、親が放置してしまうと、そのまま不登校どころか、在籍する学校がなくなってしまう事態になります。

 いじめは当然ありますが、深刻な事態に発展することは、極めて少なく、いじめによる自殺はほとんどないといってよいでしょう。学校がきちんと対応してくれなければ、容易に転校できるからです。そして、いじめ対策をいいかげんにして、子どもが少なくなると、補助金が打ち切られてしまいます。そうならないように、学校としては、いじめ対策は、日本よりも徹底して行われています。

 

Q 通りの水遊びで、道いっぱいに水があったのはなんですか。

A 一枚目の写真で、水浸しになっていたのは、ビニールの袋をとると、水がこぼれる仕組みになっているので、水だらけになっています。二枚目に、ペットボトルのようなものが並んでいるのは、股にボールをはさんで、ペットボトルのS字型に通り抜ける遊びをします。

 

Q オランダの校長は経営者という感じなのか。

A そう考えてよいでしょう。