国際教育論コメント5/15授業

1 アメリカの大学は大衆化しているのに、単位や卒業認定が厳しいのは、大学に通う意思を消沈させてしまうのではないか。

 そういう人もいるかも知れないが、最初から単位認定の厳しさ(大学によっても多少異なるはずだが)を知って入るし、また途中退学する人も多いので、消沈する人は少ないと思われる。卒業したいと思う人は、一生懸命勉強に励むのではないか。

 

2 アメリカの専門は大学院で学ぶことや、複数専攻などを考えると、日本の大学は考えが硬いと感じた。

 複数専攻は、形は違うが、文教大学でも花畑キャンパス移転にかかわって、様々な改革案がだされたが、そのなかで、複数専攻案もだされた。しかし、日本では「学部での入試」が実施されているために、学部間の単位交換は、教員の中で感覚的な反発が強い。(転部などへの意識でわかる)欧米は、学部として、また教員が入試にかかわることはないので、壁の意識が弱いのだろう。同じ条件での「硬さ」というわけではないが、日本の大学もいろいろな面で柔軟になっていく必要がある。

 

3 アメリカに短期留学したときに、何故休学しなかったのか、と聞かれたが、日本では学校を長期欠席することは、よくないことだという風潮があるが、外国ではそうではないことを改めて思った。

 いろいろな理由があると思うが、ひとつは授業料のあり方、そして、単位認定のあり方があると思われる。アメリカでは、「学期」を対象とした授業料ではなく、「単位」を対象とした授業料となっている。申請した単位数に応じて授業料がきまる。だから、休学して授業をとらなければ、基本的に授業料を払う必要がない。

 しかし、日本の大学は通常、学期毎に授業料を決め、どんなに少なくても、どんなにたくさん単位をとっても、授業料は変わらない。それだけではなく、休学しても、在籍定員の関係で、経営上まったく無料にするわけにはいかない。従って、休学は経済的に不利になる。また、日本の大学は、4年生の間に就職活動をするために、ほとんど授業をとらない学生が多い。そのために、3年間、かなり密度が多く授業をとることになる。3年生までに単位をとらない時期を作ると、卒業そのものが危うくなる。しかし、欧米の大学では、就職活動は原則卒業後に行うので、4年間で平均して単位をとっていく。だから、途中の半年で単位をとらない時期があっても、補い易いといえる。

 これらは就学年限を満たすという意味では、同じだが、その中での違い。

 それに対して、指摘されているように、卒業が遅れることに対する意識の違いも確かにある。一年間自由な過ごす時期を設定して、海外旅行にいくとか、アルバイトをするとか、そのような遅れをあまり気にしないことは確かになる。おそらく、日本の大学は保護者に丸抱えで依存している者が多いのに対して、欧米では、大学生は完全に成人なので、親から独立している(もちろん経済的援助がある場合も少なくないが)ためであると考えられる。

 

4 日本のAO入試に学力テストがはいると記事にあったが、その理由は学力低下のためとされていた。では何故AO入試をしたのかわからない。学力以外の能力やその人の個性に特化するための入試制度だと思っていたが、違うのだろうか。

 AO入試は、名目上は、確かに学力以外の能力や個性を重視するといっているが、実態は、受験生の応募が少なくなった大学や学部が、学力が低くても入れる措置をとったり、あるいは、スポーツを強くして名をあげることを目的として、スポーツ能力が高ければよい、というような「経営的」理由で行っているのがほとんどなので、そのために、学力低下が著しくなり、何らかの対策が必要となるのは、自然な成り行きといえる。