国際教育論 2017.4.24 コメント

1  ハーバード大学のレベルが19世紀前半には、それほど低かったというのは、信じられなかった。

 19世紀から20世紀前半に活躍した、もっともアメリカ的成功者の経歴を、みてみましょう。

 アンドリュー・カーネギー 1835-1919  アメリカの鉄鋼王で、カーネギー・メロン大学やカーネギー・ホールをつくった大富豪。スコットランドで生まれ、アメリカに移住、織物工場で作業員として働き、電信配達夫。それから鉄道や鉄鋼業で成功した。

 ヘンリ−・フォード 1863-1947  アメリカで初めて車を大量生産し、フォーディズムといわれる生産方式を編み出した。農家に生まれたが機械いじりが好きで、機械工から始まり、蒸気機関の修理工、エジソンの会社の技術者などをへて、エジソンの援助もあり、自動車会社を設立し、大成功。

 ジョン・ロックフェラー 1839-1937 高校と商業専門学校で学び、簿記助手として仕事を始め、後に石油王となる。

 この3人は、アメリカのみならず、世界を代表する企業家であり、大富豪だが、いずれも大学教育などは受けておらず、工員のような身分から職業生活を始めている。これらがアメリカンドリームであり、多くのアメリカン・ドリームには「学歴」はほとんど関係なかったといえる。

 コンピューター時代のアメリカの代表的な起業家であるマイクロソフトのビル・ゲイツ(ハーバード)、グーグルのラリー・ベイジ、セルゲイ・ブリン(スタンフォード)、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(ハーバード)などのように、アメリカのトップ大学卒業生・在校生がこうした起業して成功するようになるのは、あくまでも戦後のことである。スタンフォード大学は、戦前はかなり地味な大学で、戦後シリコンバレーとの連携で、名声を高くしてきた。ハーバードは、19世紀は後半でも、改革はしていたが、科学技術を支えるような大学としては、むしろ後発であった。

2 忠誠の誓をめぐるトラブルは、日本の国歌・国旗問題と似ている感じがするが、国歌に反対する人の考えはどのようなものか。

 ひとつの立場ではないと思われるが、

・君が代は天皇の永遠を謳うもので、民主主義に反するのではないか、という見解。

・日の丸とともに、日本が戦前侵略をして、アジアの国を支配下に置いたときに、日本国家の象徴的もものとして機能したのが、軍国主義的な歴史をともなっている。

 また、国歌・国旗法が制定されるまでは、法的な根拠がなかったことも、反対の理由になっていたが、法が制定されてからは、法制定時、強制することは決してない、という政府の説明があったにもかかわらず、特に学校では強制され、反対する教師の多くが処分されている。これは立法者意思ともことなるし、思想・良心の自由にも反する。

 以上のような点が、反対する人たちの理由となっていると思われる。