国際教育論コメント 2016.6.20

Q 先生がオランダ教育を学ぶきっかけは何だったのですか。

A 授業でも話したように、「学校選択制度」に注目したことです。

 

Q 売春が合法化されることで何か問題は起きないのか。

A 売春は、合法ではない国でも、必ずといっていいほど存在しています。そして、非合法の度合いが強いほど、犯罪組織によって運営される傾向があります。そういう意味で、合法化することによって、国家が把握することができ、犯罪組織でなければ難しい事業ではなくなるので、問題はあきらかに減ると思います。

 

Q 自転車事故は多いのか。保険の加入は。

A 日本よりも少ないと思います。ほとんどみたことがありません。一般的にオランダ人は保険に広くはいっているので、当然はいっていると思われます。自転車保険というよりは、通常の損害保険でカバーできるはずです。

 

Q 日本でもオランダのように、歩道、自転車道、車道と分けることはできないのか。

A 日本では極めて難しいと思います。

オランダで自転車道が普及した理由は、いくつかあります。

1 オランダは貧しかったので、車をもつことができる人は限られていて、自転車で通勤通学する人が非常に多かったので、自転車道の需要が高かったこと。

2 オランダは非常に平坦な土地なので、自転車に乗ることが楽なことが、更に自転車を普及させたこと。

3 これが非常に大きいと思いますが、オランダには自動車製造企業が存在しないこと。自転車道をつくることは、自転車を優遇することであり、車の販売にとってはマイナスになります。しかし、自動車製造企業が存在しなければ、自転車優遇策をとっても、大きな反対は起きません。しかし、日本のように、自動車産業が、もっとも強い経済競争力をもっている国では、自動車産業に不利な政策は、極めてとりにくいのです。政治家として信念をもっていても、自動車産業のロビー活動になかなか対抗できないでしょう。

4 オランダは温暖化対策を熱心に取り組む必要がある国家であり、自転車は自動車よりも遥かに環境にやさしい乗り物なので、国家的に奨励策をとれることです。自転車通勤をしていると、特別手当てがでた時期もありました。(今は廃止されているようです。)自転車通勤をすると、通常の交通費を出す必要がないので、その分特別手当てを出すように、国が指導していたわけです。

 以上のような、多数の理由がオランダにはあるのですが、このほとんどが日本には欠けているのが、なかなか日本で自転車道がつくられない理由だといえるでしょう。しかし、非常に狭い範囲では、自転車道がある地区も存在しています。

 

Q オランダ人は電気をこまめに消したりして、電気代を節約していると聞いたことがあるが、事実か。

A オランダは、ドイツなどに比較して、やはり貧しいので、そうした節約は染みついていると思います。それから、特に留守中に、留守ではないように装うために、時間を決めて電気をつけたり、消したりする機具が普及しているので、普段からそれを使って、節約している人もいると思われます。

 

Q 円形の交差点は、渋滞などが起きにくいのか。

A 信号待ちするよりは、スムーズに車が流れます。ベルリンなどは、市の中心部が、以前から円形交差点になっており、非常にたくさんの車が通っていますが、あまり渋滞にはならなかった記憶があります。ベルリンのような大きな都市の中央部は、8つくらいからの道路が交差するので、信号だとむしろ処理が難しいように思います。

 

Q オランダは自由な国なのに、生前出版できなかったり、追放されたりしたのはなぜか。

A 国家としては、自由が尊重されていたわけですが、宗教的なひとたちは、まだまだ宗教的なこだわりから、強い対応にでる部分が残っていたわけです。スピノザもグロチウスも宗教内対立によって、そうした事態になっていました。

 

Q 何故オランダは、他の国に比較して、合理主義的な政策をとったのか。

A 授業で説明したように、絶えず洪水の脅威にさらされていたので、それを解決するために、合理的に解決策を模索せざるをえなかったことと、日本の台風や地震、火山の爆発などと違って、洪水は知恵をしぼることで解決可能な自然災害であることも、合理的考え方を助長したと思われます。日本のような対応不可能な自然災害が多いところでは、むしろ、「諦め」「受容」的姿勢が強くなるのではないでしょうか。