A 学校事故で、学校に過失があったら、お金はどこからだされるのか。

Q 国家賠償で支払われる場合は、もちろん税金です。加害者(保護者)も賠償責任を負うので、その場合は、加害者の私費です。

 

A 生徒が勝手に悪いことをして事故になっても、教師に責任が課せられる(わずかであるとしても)ことが、教師の志望を減少させているのではないか。

Q 学校には、児童生徒が学校内にいるとき、あるいは校外であっても、学校の行事で管理下にある場合には、安全配慮義務があるので、事故があった場合、義務違反となることは仕方ありません。ただし、教師が問われるのは過失があったかどうかであって、実際に懲戒処分になったりするわけではありませんし、賠償責任を負うこともありません。教師の過失を認定しないと、被害者が賠償されないという事情もあります。

 そのことが教師の志望を減らしているということは、あるかも知れませんが、この点に関しては、誤解があるといえるでしょう。

 

A 裁判中の担任は別の人が行うのか。

Q 民事訴訟では、明らかに公務員としての信用失墜行為などをしていない限り、そのままだと思いますが、刑事事件で起訴されている場合には、停職処分になるのが普通なので、別の人に代わるはずです。

 

A 傘をぶつけた事件はどのような結論になったのか。

Q 被害者家族によって、損害賠償訴訟が起こされましたが、当事者のいずれにも過失は認められないとして、賠償は認められませんでした。判決文を掲載してありますので、参照してください。

 

A 運動部で顧問が練習をみていないということは、当たり前なのか。部活の顧問を教師がやることは、問題だと思う。

Q 現在の教師の忙しさからすれば、かなり多いといえるでしょう。

 

A 小学校5年、理科の実験中、児童が椅子の上に乗ったので、椅子を教師が蹴ったところ、その児童のもっていた鉛筆が、周囲の子どもにあたり怪我させたことがあった。教師が謝罪したが、教師に全責任があるのか。

Q 少なくとも、椅子を蹴るという行為は、不適切といわざるをえないでしょう。教師が蹴らなければ、怪我はなかったとすれば、教師に全責任があるといわれても仕方ないと思います。椅子に乗るというのが、どういう状況で起きたのかがわかりませんし、あまりいいことではないでしょうが、それに対する指導としては、あまりに稚拙な感じがします。

 

A 部活の指導で、顧問の休憩時間、部の最低人数などの規定はあるのか。

Q 学校や部活で特別なルールを作らない限り、そういう規定はないと思います。

 

A 組体操で、生徒が勝手に練習を始めて、事故が起き、怪我をしたことがある。この場合の学校の責任は。

Q もともと練習の時間とされていて、ほぼ全員が集まり、しかし、監督する教師が不在で、生徒が始めたとすれば、学校の責任になると思われます。まったく練習の予定でもなく、生徒が自発的に集まり、学校の許可や指導がないままに練習をしたのだとすれば、練習をした場所にもよりますが、学校の責任はある程度軽減されるのではないでしょうか。様々な条件があるので、それによっても違うでしょう。

 

A 事故で教師の過失が認定された場合、学校が教師に何らかの処分があるのか。

Q かなり大きな過失である場合には、処分がありえます。しかし、小さな過失は、誰でもするわけですから、処分されることはほとんどないといえます。

 

A 学級の秩序が保たれていない状況で、教室から出てしまう生徒がいるなど、対応は。

Q 行政の対応、学校の運営状況、地域との関係などでかなり多様な対応がなされています。

 もっともきちんとしているのは、頻繁にそのようなことがある場合に、加配で対応要員をつけている場合でしょう。行政がそれをする必要があります。あるいは、教室と職員室が常に連絡可能な状態になっていて、誰かが教室を出ていったら、授業のない教師がすばやく対応できるような体勢をとっている場合もあります。また、地域の人たちが、ボランティアで日常的に対応している場合もあります。そうしたことがいずれもなされていない学校では、授業をしている教師が一人で対応しなければならなくなり、疲弊してしまう危険があります。

 

A 過失責任主義と無過失責任主義の違いがよくわからなかった。

Q 過失責任主義は、加害者側に、故意または過失があった場合にのみ、損害賠償責任が生じるという考えかたです。民法、国家賠償法は、過失責任主義にたっています。例えば、交通事故を起こした運転手が、その少し前から意識を失った状態になってしまったことが、証明されたとしたら、まったく操作に関する認識がないわけだし、注意もしようがないので、責任が生じないことになります。また、過失があったとしても、そこにともなう注意が、あまりに過大なもので、通常の能力では、注意していても対応できないような場合も、過失とはいえないことになります。例えば、踏み切りで立ち往生している車を発見したけれども、列車の運転者が、急ブレーキをかけても間に合わなかったというような場合は、過失とはいえないと判断されることがほとんどです。しかし、横断歩道をわたっている人を轢いてしまったような場合は、横断歩道があることは、かなり前からわかっていることで、踏み切りに車がいる事態が異常ですが、横断歩道に人がいることは、普通なので、そもそも事前に車のスピードを緩める必要があります。したがって、この場合には、過失が認定されることになります。場合によって、過失の認定は様々ですが、過失があることが前提になって、賠償責任が生じるのが過失責任主義です。

 しかし、過失責任主義だと、大きな損害を受けても、補償されない場合がたくさんでてきます。また、補償されるとしても、裁判で争って数年後というのでは、事実上補償されないのと同じともいえます。そのために、過失の有無を問わず、損害が生じれば補償しようというのが、無過失責任主義です。任意の自動車保険や損害保険がそれにあたります。横断歩道で轢いてしまった場合、運転手に過失があったとしても、なかったとしても、被害者には保険金が支払われます。店で高額な商品を壊してしまった。賠償責任が生じますが、損害保険に入っている場合には、壊した人が過失があっても、保険から弁償してくれます。そのようなものが無過失責任主義です。無過失責任主義は、要するに、「保険」制度であって、掛け金を事前に払っておくシステムになります。学校の体育の授業や、部活などは、そうした保険に通常入っているので、怪我をした場合に、自己負担部分が補償される仕組みです。

 しかし、ほとんどの保険には、免責条項というのがあって、こういう場合には、補償しませんというのがあります。自動車保険では、多くの場合にスピードのだしすぎの程度が大きかったようなときには、保険金が支払われないことがあります。あるいは、飲酒運転などのような、明確に法律に違反するような運転の場合には、いくら無過失責任主義でも、対応されません。

 

A どこに過失があるかの調べで、訴訟が長くなるようなことがあるのか。

Q 刑事にせよ、民事にせよ、裁判が始まった段階で証拠はほぼでていますので、それ以後の調査で長くなることは、あまりないと思います。最近の刑事訴訟は、裁判員導入もあり、公判前の証拠確認が比較的長く、実際に始まると比較的迅速に判決に至ります。民事訴訟は、双方の日程調整などでなかなか口頭弁論が開かれないので、長引く傾向があります。

 

A 教師の指導力不足、管理不足で事故は起きるが、国や学校は具体的に対策は考えているのか。

Q 最も好ましい対策は、学校内の情報が共有され、検討されて、指導力が高まるように、相互の切磋琢磨がなされてることです。しかし、それがなされている学校はあまりありません。協力よりは、個人的な努力に任されている場合が多いと思われます。

 行政は、研修などを行いますが、現場の教師の話では、効果が期待できません。

 近年では、指導力不足教員と認定されると、だいたい1年から2年、教育センターで研修を受けます。毎日、研修センターに通って、レポートを書いたり、講義を受けたりするわけですが、成果があって、指導力がつき、よい教師になっていければよいのですが、そうした研修で改善されるとはあまり思えません。行政側としては、自発的に辞職してくれることを待っているのかも知れません。多くはありませんが、一般公務員に横滑りさせる場合もあります。

 

A 無免許運転した所長はどうなったのか。

Q 刑事告訴され、禁固16カ月、執行猶予3年の判決となりました。民事訴訟は、それ以前に、和解していました。

 

A 過去に学校側が生徒に対して裁判を起こしたことがあるのか。

Q 学校や教師が生徒や家庭から被害を受けるというのは、器物破損か対教師暴力が主なものでしょう。器物破損については、通常は弁償を要求すると思いますが、実際に弁償されるかどうかは、個々のケースで違うでしょう。被害があまりに大きく、弁償意思をまったく示さない場合には、器物破損で刑事告訴する、あるいは損害賠償請求することになると思いますが、その事例は、ほとんど聞いたことがありません。対教師暴力の場合には、暴力事件なので、通常は警察に通報する形になり、その後は警察、検察に判断を仰ぐことが多いと思われます。教師に対する誹謗中傷など不法行為に対する訴訟は、めったにありませんが、珍しいケースとして話題になった訴訟があります。http://hiro12.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-7de4.html