教育行政学コメント 2019.7.4

Q 神田高校の校長は何故処罰されたのか。合格発表していなかったのだから、問題ないのではないか。私立だったら許されたのか。

A 募集要綱に反する行為をして、受験生に不利な処遇をしたから。県立高校の入試問題は直ぐに新聞等で公表され、正解答も示されます。それによって、受験生は自分の点数をかなり正確に知ることができます。従って、合格点に達しているのに、不合格になれば、おかしいと判断できます。それで事態が判明したものです。合格発表は当然していたので、わかったわけだし、合格発表前に訂正していたら、問題にはなりません。私立の場合は、問題を公表しない場合が多いはずで、大学ですら、以前は公表していませんでした。赤本の出版社に提出することは、多くの私学がやっていたと思いますが、出版されるのは、数カ月後ですし、正解答は、あくまでも出版社の考えたものです。しかも、知り合いのなかで受験する人数も少ないわけです。したがって、自分が不合格になったが、実は点数は高かったというようなことは、あまり知りようがないし、操作が行われても、受験生が知ることがほとんどないと思われます。許されるかといえば、私学といえども許されるはずがありませんが、問題にならないまま過ぎてしまう可能性が高いといえます。

 

Q 「禁固以上」の欠格条項は、執行猶予がついた場合はどうなるのか。

A 執行猶予は、刑の執行を猶予し、一定期間問題なく過ごせば、以降も刑の執行をしないという意味であって、有罪である記録を抹消するものではありません。前科がつくことは変わりないので、欠格条項は適用されます。

 

Q 文教大学の校則はどうしたら知ることができるのか。また学生で変えられるのか。

A 文教大学の校則は、「学則」と言われるもので、入学するときに、全員に配布されているはずです。文教大学の校則に、それほど不合理な内容があるとは思われませんが、どうしても納得できないものがあるとすれば、学友会と大学の学生委員会との協議の場があるので、そこに提起する、あるいは、学長直行便で訴えるというような方法があります。

 

Q 犯罪などの例外を除き、大学側が契約を解除できないのは何故か。

A 学ぶ者の権利を守るためです。

 

Q 「部分社会の法理」の「法理」とは、法に含まれるものか。

A 「法理」は、法の理論、考え方ということですから、法には含まれません。ただし、争いになったときに、社会的に容認されている考え方ということで、判決においては法に近いものとして活用されます。

 

Q 学校は部分社会の代表例だが、退学のような不利な不利益以外は、従わねばならないのか。パーマ禁止でも、ストレートパーマはよいというのは、何故か。

A 退学であっても、学校が処分を決めたら、従わねばなりません。処分がどうしても納得がいかなければ、訴訟を起こす必要があります。

 

Q 契約は、事前に明示されないといけないということだが、口頭の場合はどうなるのか。

A 争いになった場合、基本的に文書に明記されていることが、優先されます。相手が、ちがうことを口頭でいったと主張したら、その人が、口頭でいったことを、第三者に納得できるように証明する必要があります。本当に口頭であれば、証明できないことになります。録音などがあるとすれば、そのときの反応がわかるはずです。同意していることが明確であれば、口頭でも確認したことになる可能性があります。口頭で言われたときに、反対していれば、口頭内容に対する同意はなかったことになります。いずれにせよ、不本意なことを口頭で言われたら、明確に反対すること、反対したことを、文書で記録しておくことがいいと思います。通常は契約に至らないはずです。

 

Q 不合理な校則を変えるために必要なことは何か。

A 生徒であれば、生徒会に問題提起する。教師であれば、生活指導委員会あるいは職員会議に提起する。

 

Q 「ピアスは何故いけないのか」「茶髪は」と聞かれて、どのように説明すればいいのか、難しいと思う。また就活で、個性が大事というのに、黒いスーツにするのは疑問だ。

A 自分でどう思っているのか、やはり、いけないと思っているなら、そのままをいえばいいと思います。自分はいいと思うが、校則で禁止されているならば、答え方を先輩や生活指導担当に確認すればいいと思います。

 

Q 「くるぶしより短い靴下はだめ」「白い靴下と白い靴以外だめ」と言われたが、理由がわからなかった。

A 校則として明記されているのでしょうか。それとも、ある教師に言われただけ?いずれにせよ、担任、あるいは生活指導担当の教師に質問をするのがいいでしょう。ちなみに、くるぶしより短いのは、私の感覚では靴下ではないので、靴下を履きなさいという指導と解釈したくなります。どうなのでしょう。

 

Q 校則を生徒主体で作ったというのは、どういう手順だったのか。

A 学校がそういう方針を決めることなしには、出発しないので、学校が生徒主体の校則をつくると決め、生徒会が原案をつくり、それを学校側に示して、学校が承認するという手順でしょう。現在の法制上決定権は校長にあるので、最後は校長の決定になります。

 

Q 男女交際を禁止する理由は何か。

A 禁止の校則を作った人に聞かなければいけませんが、おそらく想像するに、勉強の妨げになるという理由でしょう。高校の場合には、妊娠されたら困る、高校の評判にかかわる、というようなことを考えている可能性もあります。高校生が妊娠すると、ほぼ退学を迫られます。

 

Q 校則はどのように決定されるものなのか。

A 実はよくわかっていません。学校によって異なると思いますが、校則を作る業者があって、そこに依頼するということが多いようです。学校が新設されるときには、既に校則があるわけですが、校則を議論して作成する余裕があるほど、新設校の教師が事前に集まることはないと思われます。従って、教育委員会が案を示すか、外部の業者ということになるのが通常と思われます。実際に学校が始まってしばらくたってから、校則の不具合が指摘されて、教職員で討議されたり、校長が教育委員会と相談して変更する、というようなことはあるでしょう。

 

Q 校則をどの程度まで、社会の一般にあわせるのか、疑問に思った。

A 学校が「部分社会の法理」に適合しない組織であるとすれば、社会に受け入れられる合理性がある範囲内でつくるべきということになります。