教育行政学コメント2019.6.20

Q 現在教師に休みはあるのか。夏休みも出勤日とすると休みがなくなってしまうが。

A 冬休みと春休みがあります。

 

Q ヨーロッパで教員採用試験で子どもに授業をするということだが、授業科目は何か。

A それはその都度決めるのではないでしょうか。いずれにせよ、主要教科です。

 

Q 行田市の採用に批判があったというが、何が問題なの。(意見賛成2、反対2だった。)

A 問題だと思う人は、子どもにそうした判断をさせること自体がおかしいということでしょう。賛成意見は、子どもの前で授業をさせることで、最も正確にその人の教師としての資質が見えるということではないでしょうか。

 

Q 様々な場面でコネという言葉を聞くが本当にそういうことがあるのか。

A 採用人数が少ないと可能でしょう。首都圏の大量採用時代には、不可能だと思います。あるかどうかはわかりませんが、ありうるシステムになっていることは間違いありません。

 

Q 面接の答えをパターン化するのでは、その人自身を知ることができないのではないか。

A なぜパターン化するのか。する側にたって、理由を考えると、そうしたパターンを積極的に受け入れる人物であるかどうかを試しているということでしょう。つまり、求められることに忠実に対応するということです。そういう人物を求めているのならば、その人物を知る有効な方法になります。しかし、意欲的で、自由に考えることができる人物を望むなら、極めてまずい試験ということになります。

 

Q 授業では飛ばしたが、教師の離職率が気になった。

A 次回授業で多少解説します。

 

Q 教員採用試験を落ちた場合、どのような方法で教員を目指せばよいのか。

A 一番オーソドックスなのは、臨採になることです。あるいは、ひたすら受験勉強に邁進して、次の試験に合格すること。あるいは、中高社会であれば、本当に社会の教師をめざしているのでないならば、自分のやりたい教科の免許を通信なりで取得するのもよいでしょう。

 

Q 教員免許更新制が廃止され、一度取得した免許が永久に効力を保てるようにはならないのか。(免許をとっても、現場で働かなければ更新できないのか。)

A 政治が決めることなので、政権の考えが変わればありうると思います。免許更新講習を受けるための条件が、現職であることなので、通常は教職についていないと講習を受けられないので、失効します。しかし、実際に教員採用試験に合格すれば、講習を受ける資格が復活するので、失効した資格が復活することになっています。更に、通常は現職だけですが、それは現職にしか連絡がいかないからで、自分で自覚して、10年たった時期に、大学に申し込めば、たいていは受け入れられると思います。文教大学では、現職以外でも受け入れています。そうすれば、失効しません。

 

Q センター試験のように、一次試験が全国一律になることはないのか。

A 質問の正確な意味がわからない面がありますが、センター試験を廃止するときに、資格試験にするという案がありましたが、それはなくなったので、新しい試験で一律になることはないでしょう。

 別の意味として、全国一律の一次試験というシステムが導入されることはないか、という意味では、まず考えられません。私大は受け入れないと思います。法律で決まれば別ですが。

 

Q 教育委員会の人が、知り合いの人を採用試験で優遇することはありうるのか。

A システムとしては難しいでしょう。しかし、人間がやることですから、そういうことをする人が絶対にいないとはいえないと思います。

 

Q 採用試験で、長野と埼玉は地方が違うのに、何故かぶるのか。

A おそらく、各県で試験日などの調整をしていると思いますが、そのときに、一緒にすることで合意していると想像されます。

 

Q 給特法の手当4%があがる可能性はあるのか。

A 今の政府や財務省の姿勢が続くかぎり、ないと思います。

 

Q 今の40代−50代の教員採用試験の倍率が高かったというが、何故か。

A 50代にはかからないと思いますが、第二次ベビーブームが去ったときに、極端に新生児の数が減少し、その後だいたい少子化傾向になりました。つまり、ある時期には、義務教育を受ける人数がかなり減少したのです。その時期には、必要な教師数が当然へるわけですから、新しく採用する必要がなくなったわけです。現場の実状からすると、採用ゼロにしてもよい時期が数年続いたのですが、それでは、まずいだろうということで、ごくわずか採用することになりました。その時期が、極端に倍率が高かった時期で、また、大学の教員養成学部の志願者が激減しました。文教大学の教育学部もかなり危機に陥り、定員を減らして、減らした一部を人間科学が臨床心理学科を設立するときの定員として活用したのです。第二次ベビーブーム後の減少期が過ぎて、多少採用が増えましたが、その後、しばらくして、団塊の世代が定年退職する時期になり、大量退職にともなって、大量採用時代が訪れました。従って、現在40代は極端に少なく、20代は逆に多くなっており、世代構成としては、歪んだ形になっています。

 

Q 特別支援の免許をもたない人が、特別支援学級の担当になっていることが多いが、専門性が軽く見られているのではないか。

A その通りだと思います。ただ、現実的には、特別支援の免許をもっている教員は少なく、ほとんどは特別支援学校にいます。通常の学校には、ほとんどいませんから、そうならざるをえないという事情もあります。

 

Q 若手の研修で、教員採用試験の勉強でやるような座学で、無駄だというような意見を見たがどうなのか。

A その通りだと思います。結局、研修に一番必要なのは、教師に自由に研修させることだということを、上にたつ人が理解していないということでしょう。

 

Q 夏休みなどの長期休暇の教師の仕事はどのようなものか。

A 夏休みなので、きまった仕事はあまりないと思います。積極的な先生は、2学期の授業準備をしているはずです。

 

Q 行田市の採用された教員は、採用後特に問題がなかったのか。

A そのことは、残念ながらわかりません。たぶん、市に聞いても、教えてくれないと思います。

 

Q 文教大学の学生は教員としての質は高いのか。教員養成の大学とそうでない大学は、新人の時点でわかると現場の先生がいっていたのだが。

A 大変難しい問題です。

 

Q 教員免許の基礎資格を大学院修了にするというが、大学院修了したからといって、優れた教師になれるのか疑問だ。

A それは確かにそうです。しかし、では、大学卒でなくてもいい、とか、免許をもっていなくても同じだということになるかというと、少なくとも、平均的には、高卒よりは大卒のほうが、免許をもっていないより、もっているほうが、教師としての能力が高いということは、確実にいえると思います。そういう意味で、大学卒より大学院卒のほうが、たくさん学んでいるわけですから、知識も、またスキルを「平均的」には、高いといって、あまり間違いではないでしょう。

 それから、もうひとつ見逃せないのは、保護者との関係です。戦前、教師が保護者たちから比較的尊重されていたのは、教師がその地域における最高の学歴保持者であったことも、理由のひとつと考えられています。もし、保護者の大部分が大卒であれば、若い教師に対して、保護者は、確実に自分のほうが「わかっている」という感覚をもちます。なぜかというと、大学で学んだことは同じだし、多くの親は社会で働いており、しかも、確実に子育てという経験をしているからです。実際に、多くの若い教師は、保護者などで、かなり苦労するのは、そういう理由が多いのです。従って、教師が大学院卒であるということは、いまでも大学院卒の保護者は少ないわけですから、ある種の精神的余裕をもたらすことは事実でしょう。

 もちろん、個人の気の持ちようなのですが、背景になることが気の持ちように影響することも事実です。