教育行政学コメント 2019.5.30

Q 1年のときとった授業が半分くらい休講で、休講時に、本を買わなければできない課題がでていたが。

A 具体的に、講義名、担当教授、具体的な様子等をはっきりさせて、担任教師あるいは、教務委員に報告すべきだと思います。大分前に、他学部の教員が、同じ様なことを人間科学部の授業でやっていて、教授会で話し合い、担当を変更してもらったことがあります。もっと前ですが、精神的な状況から、通常の授業ができない教授がいて、この場合には、事前に人間科学部の担当にならないように、交渉したことがあります。更に、明らかに試験の採点結果に疑問が多くある非常勤講師などを交代してもらったこともあります。教授といえども、いろいろな人がいるから、とりあえず、問題を感じたら本人に質問し、とりあわなかったら、誰でもいいので信頼できる先生に訴えるのがいいと思います。人間科学部教授会は、きちんと議論して対応してきたと思います。

 

Q ある講義で、「自分の話は1分で**円だ」といっていたが、大学教授の給料は1コマあたりいくらなのか。

A 前の授業で説明したように、基本給が決まっており、ノルマとしてのコマ数があります。しかし、年齢で基本給が違うので、1コマあたりで決まっているわけではありません。非常勤については、規定がありますが、それも人によって異なります。いくつかのランクがあるということです。ただ、超コマ分(非常勤の額とだいたい同じ)にしても、世間的な常識でいえば、極めて低いものです。例えば、一般的(特別に高いわけではない場合)な「講演」などをやった場合の数分の一、あるいはもっと低いでしょう。常勤は、基本給があるのでいいのですが、非常勤の場合には、極めて低額な講師料しか支払われないので、こうした講師の低賃金労働で成り立っている部分があります。現在はなかなか常勤のポストがないので、非常勤だけで生活している人の貧困問題が、大きな社会問題になっています。若い人であれば、非常勤経験は、常勤応募の条件になることが多いので、金銭面より「経験」「業績」としてがまんできますが、ずっとポストを得られず、40代、50代になっても、非常勤で生活している人も少なくないのです。しかも、最近は、常勤を増やす、あるいは常勤になりやすくするために、という理由で、5年同じ立場で雇用したら、常勤にしなければならないという法律ができているので、その直前に契約解除される例がほとんどで、かえって、非常勤講師の立場を悪化させています。大学院をでて、しかも研究には時間と資金が必要なので、解決する必要があるだけではなく、日本の研究・教育水準の維持という観点からも、深刻な事態であるといえます。

 

Q 大学の授業評価アンケートの仕組みについて知りたい。

A 教育研究推進委員会が、内容を決めて、原則すべての授業で行うように教員に要請があり、用紙が配布され、回収した結果は、当該教員にフィードバックされます。現在の文教大学では、それ以上のことは行われていないと思います。こうすればよい、という意見があれば、どんどん提起してください。

 

Q 日本の登校システムはどうなっているのか。昔は安全だったのか、そうでもないのに改善されていないだけなのか。

A 常識的には、昔は安全だったが、少しずつ危険なようになってきたというのが、常識的理解でしょう。今でも、基本的には、安全だと思います。誘拐とか、川崎のような事例は、極めて例外的な事件で、むしろ、登下校の危険性は、交通事故にあると思います。登校時間は、この道路は通行できない、となっている場所はたくさんありますが、守られていないことも少なくないようです。そういうドライバーのモラル、そして、危険な道路、増えすぎた車など、交通問題が喫緊の問題だと思います。少しずつ改善はされているが、特に道路は簡単には変えられないわけです。

 川崎のような事件は、正直、登下校対策では防げない面があります。精神的な問題を抱えているひと、貧困等の社会的弱者に対して、社会がなんらかの対応が必要であるとしても、「一人で死ね」論争で浮き彫りになったように、社会的コンセンサスがあるとは到底思えません。みんなが知恵を出し合う必要があります。

 

Q PTAの権力が大きい学校もあると思うが、その場合どのような問題があるのか。

A 権力をいいように使ってくれれば、学校や教育にとって好ましいでしょうが、特定個人の都合のよいような、恣意的行為をされたら、まわりは迷惑するでしょう。

 

Q 教頭の仕事はどのようなものか。

A 教師の法的問題のところで扱います。

 

Q 土曜日が補講日になっている大学があるが。

A その大学では、土曜日に通常の授業がはいっていないのではないでしょうか。文教大学では、ずっと土曜日が授業日なので、補講日にすることはできません。実は、授業をいつ行うかというのは、かなり大きな問題なのです。

 文教大学で最も大きな問題は、何時から開始なのかです。越谷は9時ですが、湘南は9時20分です。10年ほど前に、統一しようという提案が学長サイドからあったのですが、結局反対が多く、まとまりませんでした。統一の理由は、遠隔授業をして、教育科目などをまとめようというものでした。しかし、これは、3キャンパス体制になるときに、すべてを9時10分にするということで、決まっていると聞いています。それによって、共通にある科目を、遠隔授業で対応できることになり、かなり合理化できるのです。12104には、遠隔授業システムがあるのですが、いまだ使われたことがありません。

 もうひとつの問題は、6時間目をいれるかという問題です。あまり表立って議論はされていませんが、今の時間割はあまりに窮屈なので、それを解消するためには、一日の授業コマを増やすのが一番です。6時間目をいれるとしても、昼休みを潰すという案と、5時間目のあとにいれるというふたつの考えかたがあります。

 また、別の考えでは、窮屈なのは、多くの教員が、都合のいい時間帯にいれるからで、もっと一時間目5時間目にいれるべきだという「要請」は頻繁にあります。大学は、高校までのように教務委員が時間割を作るのではなく、少なくとも文教大学は、各自がやりたいところにいれます。学科によっては、調整するところもありますが、一切調整しない場合もあります。私は、昨年までは、多くの講義を1時間目にいれていたので、教員のわがままには、多少疑問を感じています。

 

Q 中学校で、めずらしい職業などの紹介で、そうした人(保護者)を招いていたが、謝礼などはどうなっているのか。保護者が授業をするとあったが、授業料は保護者が払うのにと思った。

A 学校によって違うでしょうが、通常ボランティアだと思います。また、公立の義務教育学校は、授業料は無償なので、保護者が払っているわけではありません。国民が払う税金から、小中学校の費用は支払われています。

 

Q 部活の顧問への給料はどのくらいか。

A 部活の顧問は、原則ボランティアだと考えるのが実態にあっていると思います。土日の指導に、かなり低い手当がでるとか、自治体によって異なると思います。また、外部講師についても、自治体によって、扱いが異なるでしょう。部活顧問は、教師としての職務ではないので、次第になり手が少なくなっているというのが現状です。

 

Q PTAの子どもの成績はよいのか。

A オランダの事例で説明したのは、PTAのことではなく、子どもの教育にいろいろな側面で積極的に親がかかわると、子どもの成績が向上する例が多いという研究を踏まえて、親の参加を促しているということでした。

 日本のPTAについては、親が役員をやっていると、子どもはまじめにならざるをえないという事例が多いと思いますが、逆の事例もあるようです。ベトナム人の女子児童を登校中に殺害した人は、PTAの会長だったとか、大津のいじめ事件で、加害者の親がPTA会長経験者だったので、いじめに対して学校があまり強く出られなかったとか、弊害が指摘されることもあります。

 

Q 職員会議がない学校と、ある学校があるというが、それによる違いはあるのか。

A 学校の教職員の雰囲気によって違うと思いますが、ないと、学校全体に関する情報共有が希薄になる傾向はあるでしょう。

 

Q PTAは権限がないということだったが、近所の学校で合併問題が起きたとき、PTAが新しい学校の名称に介入して変えさせたということがあったが。

A これは、権限と影響力(権力)の違いでしょう。権限はなくとも、強い権力をもっている人はたくさんいます。日本の政治家では、実際にあるポストにいる人より、強い権力をもっている人がいることのほうが多いのではないでしょうか。戦後の政治でいえば、首相を辞めたあとの吉田茂、岸信介、田中角栄などがその典型です。ゴーン問題で揺れている日産も、かつて経営がひどかった時期は、労働組合の委員長が実権をもって、彼の承認がないと何も決められないというような状況が続いたといわれています。

 PTAが介入して決定を変えさせたといっても、権限があるわけではないのです。おそらく、そこに政治力のある有力な保護者がいたのではないでしょうか。

 

Q 中学で、生徒会と代表委員会というふたつの組織があったが、ふたつあることに疑問をもっていた。

A 学校ごとに違うでしょうから、断定的にいうことはできませんが、ふつうそういう組織がある場合、生徒会は全体で選ばれ、代表委員会は、学級から選ばれるのではないでしょうか。そして、生徒会は執行機関(内閣のようなもの)、代表委員会は立法機関(国会のようなもの)ではないかと思います。